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米高級百貨店大手サックス・フィフス、同業のニーマン・マーカスを買収、アマゾンも出資(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月10日 0時45分

米国ニューヨークに本社を置く高級百貨店大手のサックス・フィフス・アベニューの親会社HBCは7月4日、同業のニーマン・マーカス・グループを26億5,000万ドルで買収する最終合意に達したと発表した。合併に当たり、サックス・フィフス・アベニューや、ニーマン・マーカスなどを統合した新会社サックス・グローバルを設立し、サックスの電子商取引(EC)事業を担当していたマーク・メトリック氏が最高経営責任者(CEO)に就任する。メトリック氏は今回の合併を通じて、(1)運営コストの削減、(2)高級ブランドに対する交渉力の強化、(3)デザイナー、特に将来有望なデザイナー製品へのアクセス向上、(4)顧客体験の向上などを進めていきたい考えを示した。

今回の合併には、アマゾンやソフトウエア大手のセールスフォースといったECのノウハウを持つ企業も少数株主として出資する。調査会社グローバルデータのマネジングディレクターのニール・サンダース氏によると、アマゾンが参画することで、物流とECの合理化や、オンラインショッピングの強化による若年層の取り込みなどの効果が期待できるという(CBSニュース7月4日)。また、人工知能(AI)を積極的に導入することで、顧客によりパーソナライズされたサービスを提供することも目指すという。米国では近年、オンライン販売の台頭や買い物客の嗜好(しこう)の変化に対する適応の遅れなどから、百貨店は各社とも売り上げ不振に直面(注)している(2023年12月19日記事参照)が、今回の合併では、こうした技術の進歩を積極的に取り入れることで、競争力を確保していく方針だ。

若年層の消費者を引きつけるため、その他の百貨店各社も、新たな戦略に取り組んでいる。例えば、コールズは10代向けの最新の流行を取り入れた衣料品の品ぞろえを拡大しているほか、人気化粧品チェーンのセフォラとの提携の下、コールズの店舗にセフォラの小型店の出店を進めている。メイシーズは新たな衣料品ブランドの展開や、同社の店内に玩具量販店トイザラスの売り場を導入するなどで、集客の改善を図っている。百貨店の中では、ノードストロームはより安価な価格帯を提供するオフプライス店のノードストローム・ラックを展開し、インフレの中で慎重な姿勢を示す消費者への対応を強化している。

(注)米国の百貨店モデルの代名詞だったメイシーズは、2024年以降3年間に約150店舗を閉鎖する計画を明らかにしたほか、同業のロード・アンド・テイラーは2020年の破産申請後、国内の全店舗を閉鎖し、現在はオンラインのみで営業を継続している(ABCニュース7月4日)。また、米国調査会社ヌメレーターによると、コールズやメイシーズでは、60歳以上のベビーブーマー世代の顧客の割合はそれぞれ40%、36%以上占めているのに対し、Z世代(18~28歳)の顧客はわずか5~6%にすぎず、大手百貨店では若年層の顧客獲得に苦戦している。

(樫葉さくら)

(米国)

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