ペルーで4閣僚が交代（ペルー）

ペルーのディナ・ボルアルテ大統領は9月3日、通商観光省、外務省、住宅建設衛生省、文化省の大臣（閣僚）4人を交代させ、大統領官邸において新閣僚の宣誓式を行った。

通商観光相には、ウルスラ・レオン氏が就任した。同氏は教育省、運輸通信省、リマ市役所など公的機関での勤務が長く、法務省副大臣や生産省副大臣（水産担当）を歴任している。通商観光省の所管する通商分野では、インドネシア、インドとの自由貿易協定（FTA）交渉が進んでいるほか、中国と既に締結しているFTAの改定に向けた両国間の調整が続いている。観光分野では、2023年の外国人観光客が252万人と新型コロナウイルス感染拡大前の2019年の約6割に過ぎず、観光産業の復興が急務となっている。

外相には、エルメル・シアレル氏が就任した。同氏は外交官出身で駐ドイツ大使を務めた。ペルーは2024年のAPEC議長国で、11月にリマで開催されるAPEC首脳会議と閣僚会議をはじめ、各地でさまざまな関連会議が開催されている中での外相交代となった。

住宅建設衛生相には、ドゥリッチ・ウィッテンブリ氏が就任した。同氏はボルアルテ政権の直前のペドロ・カスティージョ政権時に住宅建設衛生省の事務総長を務めていた。

文化相には、ファブリシオ・バレンシア氏が就任した。同氏は文化省で文化財関連の業務に従事した経験があるほか、大学で文化財について教鞭（きょうべん）をとる。

エリザベス・ガルド前通商観光相は、2024年4月に就任した直後、地元プレスへの不適切な対応があり、同相に対する批判的な報道が続いた。また、プレスに「中国向けロバ肉の輸出を手掛ける」と発言し、動物検疫上は輸出できないこと、国内産業の実態に即していないことから、産業界から疑問の声が出たこともあった。ハビエル・ゴンサレス・オラエチェア前外相は、ベネズエラの大統領選挙について、米州機構（OAS）の会議や記者会見などの場でペルー政府の立場として非難したが、ときに強い口調で発言したため、ペルー国内での受け止め方は賛否が分かれた。

ボルアルテ大統領が2022年12月に就任して以降、今回の交代で累計55人が閣僚に就任したことになる。各世論調査での同大統領の支持率は5～6％という状況が続いている。

（石田達也）

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