インド北部で連日40度台の酷暑(インド)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月19日 14時35分
デリー首都圏を含むインド北部では5月半ば以降、酷暑が続いている。北部では例年5~6月が年間で最も暑い時期となるが、5月の首都ニューデリーの平均最高気温は41.4度と、例年に比べても高い水準だった。インド気象局(IMD)の発表によると、北部の6月17日時点の最高気温は例年より5~8度高い44~46度を記録した。
酷暑の直接の要因は、北西部ラジャスタン州からデリー首都圏の方向に、乾燥した西風が継続的に吹いている一方、例年6月ごろから見られるモンスーンがまだ到来していないためだ。また、デリー準州内の市街地面積の比率が2003年の31.4%から2022年に38.2%に上昇したことで、ヒートアイランド現象が起きやすくなっている点も指摘されている(「エコノミック・タイムズ」紙6月17日)。
デリー準州は5月30日、酷暑に起因する水不足により、州内各地で水道の安定供給ができなくなっているとして、問題への対応を協議するために、関係者との緊急会合を開催した。準州の1日当たりの上水処理量は通常よりも7,000万ガロン減少しているという(「エコノミック・タイムズ」紙6月15日)。また、拡大する電力需要に供給が追い付かず、計画外停電が頻発しているとして、製造業企業の工場稼働に大きな支障が出ていることも報じられた(「タイムズ・オブ・インディア」紙6月4日)。
他方、電力省は6月18日、酷暑によって北部の電力ピーク需要が6月17日に過去最大の89ギガワット(GW)に達したものの、うち25~30%の電力を隣接地域からの供給で対応するなど、包括的な措置によって「問題なく乗り切った」と発表した。同省は、輸入石炭を燃料とした発電所の最大活用や、各火力発電所での十分な石炭在庫の確保(注)、計画的な保守点検などの対策によって、インド全体の電力ピーク需要が250GWに達するまで対応できる態勢を整えているとしている。
(注)インド国内の総発電容量の約半分は、石炭を燃料とした火力発電所によって占められる。
(サンディープ・シン、広木拓)
(インド)
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