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米財務省、CFIUS審査対象拡大の規則案発表、米軍施設隣接の不動産取引で(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月9日 14時0分

米国財務省は7月8日、米軍施設などに隣接する不動産の取引に関して、対米外国投資委員会(CFIUS)の審査対象を拡大する規則制定案公告(NPRM)を発表した。近く官報で正式に公示し、規則案に対してパブリックコメントを受け付ける(注1)。

CFIUSは、外国から米国への投資が安全保障に脅威をもたらすかどうかを審査する省庁横断の委員会だ。外国人による米国企業の合併や取得、買収を審査対象とし、安全保障上の脅威ありと認定した場合、最終的に米国大統領に対して取引阻止を勧告する権限を有する。2018年に成立した外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA)に基づき、外国人による特定の米軍事施設などに隣接する不動産の購入や賃貸、譲与などの取引にも審査対象を拡大した。CFIUSが設立された1975年以降、米国大統領はCFIUSの勧告に基づいて、8件の取引について禁止措置を取っている。その全てに何らかのかたちで中国が関与しており、うち1件は不動産取引となっている(注2)。

今回発表した規則案は、CFIUSが審査対象とする米軍施設のリストに59の米軍施設を追加するなど、不動産取引の審査対象を大幅に拡大するもの。規則案で提示した内容は次のとおり。

新たに指定する米軍施設40カ所の周囲半径1マイル以内の不動産取引を審査対象に追加する。
新たに指定する米軍施設19カ所の周囲半径100マイル以内の不動産取引を審査対象に追加する。
既存審査対象の米軍施設8カ所の周辺の不動産取引の範囲を1マイル以内から100マイル以内に拡大する。
既存審査対象の米軍施設14カ所の名称を更新し、対象施設を特定しやすくする。
既存審査対象の米軍施設7カ所の位置情報を更新し、対象施設を特定しやすくする。

財務省のジャネット・イエレン長官はプレスリリースで「CFIUSは、機密性の高い米軍施設の周辺の不動産取引を徹底的に審査することで、米国の国家安全保障に不可欠な役割を果たしている。今回の規則案はこの重要な使命を達成するための審査の権限と能力を大幅に拡大する」と述べ、規則案の意義を強調している。

(注1)パブコメの受付期間は官報公示日から30日間。パブコメは連邦政府のポータルサイトから提出可能。パブコメを踏まえて最終規則が策定される。

(注2)CFIUSの概要や動向については、ジェトロの2023年10月2日付地域・分析レポート参照。直近では2024年5月にジョー・バイデン大統領が外国人による米軍施設に隣接する不動産の購入を差し止める行政命令を発表した(2024年5月14日記事参照)。

(葛西泰介)

(米国)

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