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トルコ企業はシリア復興に注目(トルコ、シリア、カタール)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月19日 9時20分

シリアのアサド政権の崩壊により、トルコのビジネス界は既にシリア復興需要に目を向けている。トルコ国営アナドル通信がまとめたトルコのビジネス団体への聞き取りによると、シリアの新政権樹立とトルコに居住するシリア難民が帰国することは、トルコの建設や食品、医療・教育などのサービス、貿易などに大いに寄与することが期待されている(12月10日付国営アナドル通信)。

2011年に始まったシリア内戦前のトルコとシリアとの経済関係は、両国間の自由貿易協定(FTA、2007年発効、2011年一時停止)により、貿易が拡大していた。加えて、約900キロに及ぶ国境地域間の経済交流や、トルコ企業のアレッポ周辺地域への投資などが活発だった。

トルコ側が期待している復興需要は、インフラや都市の再建に伴う建設や、建材、食品などの輸出増、難民の帰国による両国間ビジネスの活性化などが挙げられている。産業界からは、「トルコはシリアの再建と発展に発言権を持つ国となる」と期待されており、シリア再進出は、トルコを物流拠点とし、湾岸諸国、中東、アフリカにも開かれている。特に建設部門の期待は大きく、同様に建材関連でセメント、鉄鋼などの需要増が見込まれている。これに関連して、トルコの建設関連株が12月9日に急伸したと伝えられている(12月9日付「DAILY SABAH」)。また、トルコ南東部のガズィアンテプ、シャンルウルファ、ハタイ、キリスなどの近接県が大きな利益を得ることになるという。

インフラに関しては、トルコのアルパルスラン・バイラクタル・エネルギー・天然資源相が12月10日、カタールの天然ガスをシリアとトルコを経由して欧州に輸送するエネルギー投資に対する支持を明らかにした。カタールは2009年、同国のサウスパルスとノースドーム油田からサウジアラビア、ヨルダン、シリア、トルコを経由して欧州にガスを輸送する全長1,500キロの長大なガス・パイプラインの建設を提案していた。この計画はシリアのアサド政権(当時)の拒絶によって棚上げとなっていたが、復活の可能性があるという。

シリア復興では、内戦下でも同国のヒマワリ油と小麦粉の輸入の70%がトルコからといわれており、食品部門の需要増も期待されている。トルコ輸出業者評議会(TİM)によると、トルコからシリアへの輸出は2024年1~11月で、穀物、化学品、電子機器、鉄鋼、水産物を中心に、前年同期比4.6%増の19億5,000万ドルとなっている。

(中島敏博)

(トルコ、シリア、カタール)

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