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世界最高峰のアクセラレーター登壇、大阪で米最新動向セミナー開催(日本、米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月10日 10時50分

ジェトロは12月4日、米国の大統領選結果と政治経済への影響や、シリコンバレー(SV)のエコシステム最新動向に関するセミナーを大阪で開催した。世界最高峰のアクセラレーターの1つのバークレー・スカイデック(BSD)の代表者がBSDの支援実績や日本の魅力について講演したほか、ジェトロの在米事務所長が現地の最新動向などを説明した。

セミナーではまず、ジェトロ・ロサンゼルス事務所の梶田朗所長が11月5日に行われた米大統領選挙結果と政治経済への影響について解説した。大統領選でドナルド・トランプ前大統領が圧勝した要因について、「有権者の一番の関心は物価上昇だった。新型コロナウイルス禍後のインフレと民主党の政権運営への不満が重なったため、民主党候補が不利になった」と指摘した。トランプ次期大統領の政策方針には、関税政策を中心に過激な内容が含まれているが、「言ったことがそのまま実現してしまう可能性は少ない」と語った。

次に登壇したジェトロ・サンフランシスコ事務所の林揚哲所長はSVを含むサンフランシスコベイエリアの最新状況について講演した。SVは優秀な人材の層の厚さや、資金調達のしやすさ、市場アクセスの容易さが世界一で、世界中から技術系人材が集積すると指摘し、ベイエリアに立地する日系企業は年々増加しており、2022年時点で1,220社に達したと説明した。その多くが製造業で、技術動向調査に従事しているほか、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)機能を置き、魅力的なスタートアップ(SU)の探索と投資活動を行っている。日系企業がよく現地のベンチャーキャピタル(VC)やアクセラレーターから要改善事項として指摘されるのは、現地市場に合った製品開発や、顧客の抱える課題の追求、ターゲット市場の絞り込み、SVのマインドセットの理解と最適なチームの結成などだと語った。

写真 BSDによる講演(ジェトロ撮影)

BSDによる講演(ジェトロ撮影)

最後に、BSDのエグゼクティブディレクターのキャロライン・ウィネット氏とゼネラルマネジャーのシビル・チェン氏がBSDの役割について講演した。BSDはカリフォルニア大学バークレー校が運営するアクセラレーターの1つで、1,800社のSU支援実績を有する。日本企業では、量子コンピュータ分野の暗号資産保全技術を開発するブロック(Blocq)や、超高速・低コストで金属製品を造形できる3Dプリンターを開発するサン・メタロン(SUN METALON)に対して、VCとつなぐ支援などを行ったと説明。日本にはバイオ技術や医療技術などの分野で優れた人材とディープテック(注1)技術基盤があるため、ジェトロと連携し、日本のイノベーション推進とSUの成長に貢献したいと述べた(注2)。

(注1)社会課題を解決し得る革新的な技術。

(注2)ジェトロとBSDは2023年11月16日にイノベーション推進に向けた協力に関する覚書を締結。日本でのSU支援や日本のSUエコシステム形成に関するプログラムで、大阪大学や京都大学などの国立大学を含めた連携・協力を行っている。

(齋藤寛)

(日本、米国)

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