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トランプ米大統領、パリ協定からの離脱など定めた大統領令に署名(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月22日 13時30分

米国のドナルド・トランプ大統領は1月20日、エネルギー政策に関連し、5本の大統領令(注1)に署名した。このうち「国際環境協定でも米国を第1に位置づける」と題した大統領令では、パリ協定からの離脱などを盛り込んでいる。

大統領令ではまず、「米国は近年、わが国の価値観や経済、環境目標の追求に対する貢献を反映しない国際協定やイニシアチブに参加することを表明してきた。さらに、これらの協定は、財政支援を必要としない、あるいはそれに値しない国々に米国の納税者の税金を誘導している」と述べ、バイデン前政権下でコミットしてきた各種の国際協定の在り方を批判している。その上で「国際協定は米国に不当または不公平な負担をかけてはならない」とし、主に次の5つの措置を取ることを発表している。

1. 気候変動枠組み条約に基づくパリ協定から離脱する通告を直ちに国連に提出すること。米国はこの通告をもって同協定からの離退が即時発効するものと見なすこと(注2)
2. 気候変動枠組み条約に基づいて締結されたあらゆる条約、協定、合意、または類似する約束からも離脱することを、国連に対して直ちに書面で通知すること
3. 気候変動枠組み条約に基づいて行ったあらゆる財政的な約束を直ちに中止・撤回すること
4. 途上国への気候変動対策資金の拠出を目的としてバイデン前政権下で策定された米国国際気候資金計画を即時撤回すること
5. 今後のエネルギーに関する全ての対外活動で、経済効率、米国の繁栄の促進、消費者の選択、財政抑制を優先すること

米国のパリ協定からの離脱に伴う世界的な気候変動対策への影響は避けがたい、とみられる。特に途上国への気候変動対策資金に関しては、米国も2024年度に約110億ドルと全体の約10%を拠出してきたが(2024年11月20日記事参照)、米国の離脱により、国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)で合意された同資金の増額目標(2024年11月27日記事参照)の達成は一層厳しくなりそうだ。

(注1)今回署名した大統領令は、(1)米国のエネルギーを解き放つ、(2)アラスカの並外れた資源の潜在能力を解き放つ国家エネルギー非常事態の宣言、(4)国際環境協定でも米国を第1に位置づける、(5)外洋大陸棚における洋上風力発電リースからの一時的な撤退と、連邦政府の風力発電プロジェクトに対するリース、許可慣行の見直しの計5本。

(注2)パリ協定では、離脱の効力は寄託者が離脱通知を受領した日から1年が経過した日以降に発効するとされている。しかし、今回の大統領令では、この規定にかかわらず、即時発効したものとして扱うとしている。

(加藤翔一)

(米国)

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