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東部ドイツ2州の議会選挙、極右と極左が躍進し、国政与党は惨敗(ドイツ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月5日 14時15分

東部ドイツ2州で9月1日、州議会選挙が行われ、極右政党ドイツのための選択肢(AfD)が躍進した。暫定結果によると、チューリンゲン州ではAfDが第1党を獲得する見通し。ザクセン州でも、キリスト教民主同盟(CDU)に次ぐ第2党の座を確保する見込みだ。一方、オラフ・ショルツ首相率いる社会民主党(SPD)をはじめ、国政与党は敗北を喫した。

チューリンゲン州では、9月1日時点の暫定結果によると、第1党のAfDは得票率32.8%(前回2019年選挙の得票率比:9.4ポイント増)を獲得し、州議会の定数88議席の3分の1以上となる32議席を得る見込み。州憲法裁判官の任命や州憲法改正には、州議会の3分の2以上の賛成が必要で、同党単独で重要事項の決定を阻止することが可能となる見通しだ。第2党となったCDUの得票率23.6%(1.9ポイント増)に9.2ポイントの差をつけた。国政与党は、SPDが6.1%(2.1ポイント減)となったほか、緑の党が3.2%(2.0ポイント減)、自由民主党(FDP)が1.1%(3.9ポイント減)と惨敗。緑の党とFDPは、議席獲得に必要な5%に至らなかった。左翼党(Linke)が13.1%(17.9ポイント減)と大きく減らした一方、左翼党から分離し2024年1月に旗揚げされたザーラ・ワーゲンクネヒト同盟(BSW)が15.8%を獲得し、一躍して第3党となった。

ザクセン州では、9月2日時点の暫定結果によると、CDUが得票率31.9%(前回2019年選挙の得票率比:0.2ポイント減)で第1党の座を辛うじて死守するも、AfDが30.6%(3.1ポイント増)と肉薄。BSWは11.8%で、同州でも第3党になった。一方、SPDは7.3%(0.4ポイント減)、緑の党は5.1%(3.5ポイント減)、FDPは0.9%(3.6ポイント減)にとどまった。

ラジオ局ドイチェベレ(9月1日)は、現連邦政府に対する不満の高さを国政与党の敗因に挙げ、政策を変更しなければ、連立与党に対する不満はさらに高まると指摘。また、経済紙「ハンデルスブラット」(9月2日)は、AfD躍進の理由の1つとして、移民排斥を掲げるAfDの移民政策が票の獲得に貢献したと分析している。

AfDの政権獲得可能性は低く、BSWが主導権を握る

両州とも単独過半数を得た党はないため、連立政権に向けた交渉が行われる見込みだが、政権樹立は難航する見方が強い。CDUのフリードリヒ・メルツ党首は選挙前の取材で「AfDとの協力はCDUを殺す(umbringen)ことになる」とAfDとの連立の可能性を強く否定した。各党はAfDとの協力関係を排除しており、AfDが政権を取る可能性は低いとみられている。一方、AfD抜きで連立政権を組むには、BSWとの連立形成が必要となる。BSWは、州政府での連立政権参加にあたり、ウクライナへの武器供与の停止などを求めており、政治的な行き詰まりを回避できるかに注目が集まっている。

9月22日には、同じく東部ドイツのブランデンブルク州でも州議会選挙が予定されている。同州議会では現在はSPDが第1党であるが、最新の世論調査ではAfDがやや優勢な状況にある。

(小川いづみ、中山裕貴)

(ドイツ)

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