遼寧省初の「漁光互補」再エネ発電ステーションが送電開始(中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月16日 0時20分
中国・遼寧省初の沿岸部干潟太陽光発電実証ステーション(漁光互補、注1)の第I期プロジェクトが2024年12月28日に大連市普蘭店区で正式に稼働し、電力系統に接続して供給を開始した。
同ステーションは、華能新能源が6億元(約132億円、1元=約22円)を投資し、2023年7月から建設を開始、18万枚近い太陽光パネルが敷設され、2025年末までに工事全体が竣工(しゅんこう)する見込み。同ステーションには100メガワットの設備容量で45メガワット時を蓄電できる蓄電システムを導入しているため、すべて稼働すれば、標準炭(注2)換算で年間約5万1,100トン分を節約でき、二酸化炭素(CO2)と二酸化硫黄(SO2)の排出量をそれぞれ約13万4,900トン、1,100トン削減できると予測されている。
同ステーションは、大連市普蘭店区の干潟地域に位置する。太陽光パネルの下にナマコの養殖場があり、水産品の養殖と太陽光発電の相乗効果を生み出すことで、最大限に海洋資源の利活用と環境保護を実現できるようになる「漁光互補」のグリーンエネルギー実証モデル事業として注目を集めている。
国家発展改革委員会は2023年12月6日、「国家カーボンピークアウトパイロットエリアの第1弾リスト」を公表し、大連市を含む25都市と10カ所の産業園区をカーボンピークアウトパイロットエリアとして指定していた(2023年12月19日記事参照)。2024年7月18日に大連市政府が発表した「国家カーボンピークアウトパイロットエリア(大連)実施プラン」では、同市において太陽光発電事業を推進することなどが強調された(2024年7月31日記事参照)。今回の干潟太陽光発電ステーションは、現地の漁業や養殖業、再エネ事業、電力産業の一体化を実現するという新たな道を切り開いた。大連市普蘭店区では、16万畝(ムー、土地の面積単位、1畝=666.7平方メートル)の干潟地域を有するため、今後、大連市南側の黄海と北側の渤海沿岸部における「漁光互補」事業を推進するにあたり、地域の特性を生かした経済発展に向けた実証的な事例となる。
(注1)漁光互補とは、漁業と太陽光発電の相互補完を指す。具体的には、養殖池の水面上に太陽光発電パネルを設置し、パネル下の水域で魚やエビなどを養殖することができる。太陽光発電パネルを設置することで養殖業にも遮蔽効果をもたらし、「上部で電気を生成し、下部で魚を育てる」という新たな発電モデルとなっている。
(注2)標準炭とは、発熱量が1キログラム当たり7,000キロカロリーの石炭を指す。標準エネルギーの表現方法の1つ。
(呉暁東)
(中国)
外部リンク
- 小鵬匯天、上海市のオフィス街で空飛ぶクルマの試験飛行実施(中国)
- 中国ロボットスタートアップの上海智元新創技術、人型ロボットの量産開始(中国)
- 大連市、低空経済発展行動プランを公布(中国)
- 一汽解放汽車、中国最高の熱効率の水素エンジンを発表(中国)
- 大連で「低空経済産業協会」が設立、関連産業チェーンの構築を図る(中国)
- 大連で自動運転分野における日中間連携事例のセミナーを開催(中国)
- 小鵬匯天、空飛ぶクルマの量産工場を着工(中国)
- 北京市、低空経済産業を1,000億元規模へ、大興空港~雄安新区の低空旅客輸送を模索(中国)
- ボルボ傘下のEVメーカーのポールスター、米サウスカロライナ州での生産を開始(中国、米国、スウェーデン)
- 大連市で「北東アジアグリーン燃料船サプライチェーン連盟」設立、船舶の脱炭素化を加速(中国)
この記事に関連するニュース
-
営農型「曲がる太陽電池」NEDO新エネ事業に採択
PR TIMES / 2025年1月17日 13時40分
-
中国の太陽光発電、世界のエネルギーのグリーントランスフォーメーションを後押し
Record China / 2025年1月15日 15時30分
-
中国最大の干潟太陽光エネルギー貯蔵発電所が稼働開始
Record China / 2025年1月7日 18時20分
-
大連で水素を用いた船舶燃料の給油基地を着工、中国最大級に(中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月7日 15時35分
-
ウズベキスタンで中東各国の閣僚を迎え、再エネ施設を稼働(ウズベキスタン、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、トルコ、アゼルバイジャン、カザフスタン)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月23日 1時10分
ランキング
-
1ロシア国防省が「クルスク州の占領地域63%を奪還」と主張 反撃の進展を強調
産経ニュース / 2025年1月17日 19時28分
-
2尹大統領の逮捕状請求=発付なら最大20日間拘束―韓国捜査当局
時事通信 / 2025年1月17日 19時59分
-
3トランプ氏の大統領就任式、議会議事堂内の円形大広間で開催へ…厳しい寒波で「外に何時間もいるのは危険」
読売新聞 / 2025年1月18日 5時32分
-
4ロシアとイランが「戦略パートナー条約」に署名 反欧米で結束誇示 相互防衛条項は含まず
産経ニュース / 2025年1月17日 23時53分
-
5トランプ氏就任式、屋内で開催=厳しい寒さで、40年ぶり
時事通信 / 2025年1月18日 7時45分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください