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米議会・バイデン政権合同委、UFLPA事業者リストや優先執行分野の拡大を提言、年次報告書公表(米国、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月6日 10時35分

米国の「中国問題に関する連邦議会・行政府委員会(CECC)」は12月20日、2024年の年次報告書を公表した。CECCは、連邦議会上下院18人の議員、大統領が任命する5人の政府高官の計23人で構成され、中国における法の支配と人権の状況を調査し、立法・行政措置の提言を盛り込んだ年次報告書を議会と政権に提出する。

CECCは315ページに及ぶ報告書で、中国の新疆ウイグル自治区、チベット自治区、香港における組織的な人権侵害のほか、少数民族、人権派弁護士、言論の自由や信教の自由、独立した市民社会の主唱者に対する恣意(しい)的な拘束や虐待を報告した。また、こうした中国政府の措置は、強制労働や囚人労働のないサプライチェーンを構築し、普遍的人権を擁護しようとする米国にとっての明確な懸念事項だと問題視した。

CECCは、15項目の立法・行政措置を提言した。このうち、ウイグル強制労働防止法(UFLPA、注1)に基づく、強制労働の関与が疑われる物品の輸入差し止めなどの水際措置の執行強化に向けた提言では、政権に対して、非課税基準額(デミニミス)以下の少額貨物(注2)に執行の焦点を当てるべきだとして、テム(Temu)などの中国系電子商取引事業者をUFLPAの事業者リスト(注3)に追加することを提起した。また、外国政府に対して、UFLPAをモデルとした法規制を導入するよう働きかけることを提言した。議会に対しては、UFLPAの優先執行分野(注4)を拡大し、違法・無報告・無規制(IUU)漁業を行う中国の漁船や、強制労働や児童労働を利用して採掘・加工されたコバルトを用いて製造したリチウムイオンバッテリーを対象にする法案を検討することなどを提言した。

米国では、2025年1月3日から上下院で共和党が多数派を占める新議会が始まり、1月20日にはトランプ新政権が発足する。CECC共同議長のジェフ・マークリー上院議員(民主党、オレゴン州)は発表の中で、「議会とトランプ次期政権がCECCの提言に基づいて行動することを期待する」と述べた。

(注1)UFLPAの概要や動向は、ジェトロ特集「ウイグル強制労働防止法」参照。

(注2)米国では、輸入貨物の申告額が800ドル以下の場合、デミニミス・ルールの下、関税の納付や原産地情報の申告が免除され、簡易的に輸入できる。議会や政権からは、違法薬物や強制労働の関与する製品がデミニミス・ルールを悪用して不正輸入される懸念や対応策が提起されている(2024年8月2日記事2024年9月17日記事参照)。

(注3)UFLPAは、物品の採掘・生産・製造に新疆ウイグル自治区、またはUFLPA事業者リストに掲載されている企業・団体が関与する場合、強制労働の利用があるとみなして米国への輸入を原則禁止する。これまでに107企業・団体がUFLPA事業者リストに掲載されている(2024年11月25日記事参照)。

(注4)2024年12月末時点で、アパレル、綿、ポリシリコンを含むシリカ製品、トマト、アルミニウム、ポリ塩化ビニル、水産品の7分野が指定されている(2024年7月11日記事参照)。

(葛西泰介)

(米国、中国)

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