米英が重要新興技術の連携強化を協議、米独は量子技術協力の共同声明発表(米国、英国、ドイツ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月27日 11時30分
米国政府は5月20~23日、英国政府、ドイツ政府とそれぞれ、科学技術協力に関する合同委員会会議(JCM)を開催した。
米国国務省の発表によると、米英両国は5月20~21日、ロンドンで科学技術協力に関するJCMを開催した。JCMは2017年に発効した科学技術協力に関する米英2国間協定に基づいて開催された。両国は2023年6月に発表した「21世紀の米英経済パートナーシップのための大西洋宣言」(2023年6月9日記事参照)でも、重要・新興技術の研究開発などについて連携することで合意している。今回のJCMでは、重要・新興技術に関する協力拡大に向けて、量子、人工知能(AI)、合成生物学に焦点を当てて協議したとしている。
また、米国国務省の発表によると、米国とドイツは5月22~23日、ベルリンで科学技術協力に関するJCMを開催した。JCMは2010年に発効し、2020年に更新された科学技術協力に関する米ドイツ2国間協定に基づいて開催された。今回のJCMで両国は、バイオテクノロジーとバイオものづくり(注1)、フュージョンエネルギー(注2)、気候変動研究、技術革新や技術流出がもたらすリスクに対するセキュリティーなどの重要政策・研究分野で協力拡大を約束した。また、量子情報科学技術(QIST)分野の協力に関する共同声明に署名した。
共同声明では、QISTについて、強力なコンピュータ、画期的な能力を持つネットワーク、前例のない精度を持つセンサーの開発に革命をもたらすと評価。また、これら技術の実現にはQISTの理論的・実践的理解を拡大し、評価や検証を目的とした新たなツールを開発するための集中的な取り組みが不可欠との認識を示した。その上で、両国が協力して、量子コンピュータ、量子ネットワーク、量子センサーを含むQISTの推進に向けて協力するとした。具体的には、両国がQISTの研究開発エコシステムを広範かつ包括的に促し、学際的研究を促進するとともに、研究方法・インフラ・データの共有を図るなどとした。
(注1)DNA・RNA合成やゲノム編集などの合成生物学に基づく技術を用いて行うものづくり。医療・食品・素材産業をはじめ、さまざまな産業分野への活用が期待されている。ジョー・バイデン米大統領は2022年9月にバイオテクノロジーとバイオものづくりのイノベーション推進に関する大統領令を発出した(2022年9月14日記事参照)。
(注2)原子核同士の融合反応で発生する核融合エネルギー。エネルギー問題と気候変動問題を解決する次世代エネルギーとして期待されている。
(葛西泰介)
(米国、英国、ドイツ)
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