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中国商務部、両用品目輸出管理リストの対象拡大や米国産半導体へのAD・CVD調査を示唆(中国、米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月17日 14時35分

中国商務部は1月16日、報道官談話を発表し、米国産成熟プロセスチップに対するアンチダンピング(AD)調査と補助金相殺関税(CVD)調査といった貿易救済調査(注1)の開始を示唆した。

談話では、バイデン米政権による半導体産業への巨額の補助金支給によって、米国企業が不公平な競争上の優位性を獲得し、中国に成熟プロセスチップ製品を安価に輸出することで、中国の産業の合法的権益を損なっているとの報告を中国半導体産業界から受けていると明らかにしつつ、こうした中国国内企業の懸念は当然のことで、貿易救済調査を申請する権利を有すると指摘した。その上で、国内産業界の申請・訴えに対して今後、中国の関連法規やWTOルールに基づいて審査を行った上で、法に基づく調査を開始するとした(注2)。

戦略的資源の両用品目輸出管理リストへの追加示唆

また、同じく1月16日に公表された商務部報道官談話では、中国は実際の状況に基づいて両用品目輸出管理リストを調整・整備していくとした上で、戦略的資源関連の品目は明らかに軍民両用の属性を有するものであり、今後、国際的慣例を十分に参照し、拡散防止などの国際的義務の履行、中国自身の国家安全などの必要性を踏まえて、適切なタイミングで関連する戦略的資源を同リストに追加し、輸出管理を強化すると表明した。

国務院は2024年10月19日、両用品目輸出管理条例を公布し(2024年11月7日記事参照)、その後、商務部などが「両用品目輸出管理リスト」を公布した(いずれも12月1日から施行、注3)。なお、米国に対しては、12月3日から一部品目について輸出管理を強化しており、ガリウム、ゲルマニウム、アンチモン、超硬質材料に関連する両用品目の輸出については、原則として許可せず、黒鉛の両用品目の輸出については、エンドユーザーや最終用途の審査を厳格化するとした(2024年12月6日記事参照)。また、米国企業28社が中国の国家安全と利益を損なっているとして、「輸出管理コントロールリスト」に掲載し、これらの企業に対して、両用品目を輸出することを禁止している(2025年1月15日記事参照)。

(注1)アンチダンピング(AD)調査、補助金相殺関税(CVD)調査は、WTO協定で認められた貿易救済措置の一種。

(注2)業界団体の中国半導体行業協会は1月16日に発表した声明で、2022年8月に成立した米国のCHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)は市場経済の基本ルールに対する重大な違反であり、中国を含む世界の半導体産業に広く懸念を巻き起こし、世界の半導体産業を不安定化させたと批判した。また、中国で発展する内資や外資系の半導体企業がWTOルールにのっとり、積極的に自身の合法的権益を守ることを強く支持すると表明した。

(注3)詳細はジェトロ調査レポート「両用品目輸出管理条例」「両用品目輸出管理リストの概要」を参照。

(小宮昇平)

(中国、米国)

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