ロシア中銀、予想外の政策金利据え置き(ロシア)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月26日 0時25分
ロシア中央銀行は12月20日に行われた金融政策決定会合で、主要政策金利(キーレート)を21%に据え置くことを決定した。政策金利が据え置かれるのは4会合ぶり(2024年10月31日記事参照)。インフレが依然として高進するなか、会合前の市場関係者の予想では4会合連続で引き上げられるとの見方が大勢を占めていた。
据え置きの理由について、ロシア中銀のエリビラ・ナビウリナ総裁は、前回(10月)の引き上げにより11月は(資金の)貸し出し総量が大幅に減少したとして、今回の据え置きはそれらが今後経済にどのように影響するかを測る意味合いもあるとした。また一部の業種で、生産の鈍化傾向や借り入れおよび投資計画の見直しの動きがみられることも背景にあるとした。その一方で同総裁は、インフレ目標の4%を達成するにはまだ時間がかかるとの認識を示し、2025年2月14日に予定される次回の会合で再度、政策金利を引き上げる可能性を含め、今後も当面、金融引き締めを継続する考えを示した。
据え置きの背景には様々な見方がある。1つは、中銀がさまざまな経済合理性から判断を下したというものだ。モスクワ大学経済学部のオレグ・ブクレミシェフ経済政策調査センター所長は「中銀はわれわれよりもはるかに多くの内部情報を持っており、それに基づいた決定と思われる」と考えを述べた。その一方で、高金利による企業業績の悪化を懸念する産業界が、政府などに圧力をかけた結果との見方もある(「ビジネスFM」12月20日)。
例えば産業界の声として、国家コーポレーション・ロステフのセルゲイ・チェメゾフ社長は、高金利が産業発展のブレーキになっていると批判していた(「インターファクス通信」10月23日)。ロシア産業家起業家連盟は、財政金融政策における中銀の権限を縮小し、産業政策を所管する政府との調整を義務付ける法改正を政府に対し提案していたとされる(「ベドモスチ」11月13日)。
政策金利据え置きは、市場からは好意的に評価された。12月20日のモスクワ取引所指数(IMOEX)は終値で前日比221.97ポイント(9.2%)上昇の2,638.42となったほか、週が明けた12月23日も続伸した。
(欧州課)
(ロシア)
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