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米商務省、金融機関向け輸出管理順守のガイダンス発表(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月10日 15時5分

米国商務省産業安全保障局(BIS)は10月9日、金融機関向けの輸出管理規則(EAR)順守のためのガイダンスを発表した。EARの一般禁止事項 10を含む各規則に違反しないためのベストプラクティスなどを紹介している。BISはEAR順守を促進するため、産業界などに対して、相次いでガイダンスを発表している。

EARでは、BISの許可なく輸出や再輸出などを禁止する、10項目の一般禁止事項を定めている(注1)。そのうち一般禁止事項10では、EAR違反が行われた、または違反が行われる、あるいは違反を意図した取引であること承知しながら(注2)、融資やその他のサービスを提供することを禁止している。一般禁止事項10に該当する場合は、いかなる許可例外も適用されない。

その上で、今回発表されたガイダンスでは、金融機関が一般禁止事項10に違反しないよう、「EAR関連デューディリジェンス(DD)」「レッドフラッグに関する取引の継続的なレビュー」「リアルタイム・スクリーニング」について、ベストプラクティスを紹介している。「EAR関連DD」については、商務省国際貿易局(ITA)が公開している、米国の経済制裁の対象となっている事業体を検索できる統合スクリーニングリスト(CSL、2022年12月23日記事参照)の利用や、2023年以降に「共通の高度優先品目リスト」(CHPL、2024年2月26日記事参照)に掲載された品目を出荷した企業のリストとの照合などを推奨している(注3)。「継続的なレビュー」については、金融機関はEAR 違反の可能性を評価するのに十分な情報を持っていない可能性が高いことを認識しているとしつつも、取引後にEAR違反の可能性について知識が蓄積されていくこともあるとした。そのため、継続的に顧客のレビューを行い、例えば「銀行、運送業者、または第三者に対して、エンドユーザー、最終用途、企業所有権に関する詳細情報の提供を拒否する」といった行動があれば、当該顧客との取引を控えるべきだとした。「リアルタイム・スクリーニング」については、輸出特権剥奪リスト(DPL)やミャンマー、カンボジア、キューバ、中国、イラン、北朝鮮、ロシア、シリア、ベネズエラ、ベラルーシの軍事諜報エンドユーザーなど、特定の規制対象者に対しては、リアルタイムでのスクリーニングの重要性を強調した。

安全保障上重要な製品や技術の流出を規制する輸出管理は、経済安保政策の中核に位置付けられており、BISはEAR順守を促進するため、産業界や学術界に対して積極的にガイダンスを発表、更新している。直近では、輸出管理規制品目の横流しリスクの特定(2024年7月11日記事参照)、学術界向け(2024年8月16日記事参照)、みなし輸出(2024年9月11日記事参照)、G7共同のロシアによる輸出規制回避防止(2024年9月25日記事参照)に関するガイダンスが相次いで発表、更新している。

(注1)一般禁止事項など、EARの概要については、ジェトロの調査レポート、続・厳格化する米国の輸出管理法令 留意点と対策(2021年8月)米国の経済安全保障に関する措置への実務的対応(2023年4月)などを参照。

(注2)EAR違反が将来的に発生する可能性が高いと認識している場合なども、一般禁止事項 10に該当する。

(注3)リストは、英国に拠点を置くトレード・インテグリティー・プロジェクト(TIP)から無料で入手できる。

(赤平大寿)

(米国)

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