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英首相、トランプ氏に祝意表明、国内では関税政策への懸念の声も(英国、米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月15日 0時5分

米国大統領選挙の結果を受け、英国のキア・スターマー首相は11月6日朝(英国時間)に自身のX(旧Twitter)に勝利したドナルド・トランプ前大統領に対する祝意をポストした。「歴史的な勝利」とし、「今後も経済成長、安全保障やイノベーション、テクノロジーなどさまざまな分野で両国間の特別な関係が続くことを確信している」と続けた。またスターマー首相は、同日夜にトランプ氏と電話会談。今後の協力への期待に加え、中東情勢について議論を行った。

英国への影響について、国内の報道ではNATOなどの防衛、関税などの通商といったトピックが主に取り上げられている。関税については、英国経済・社会研究所(NIESR)が発表した経済見通しでは、英国の2025年のGDP成長率は、トランプ氏が掲げる関税政策が導入された場合、0.4%と、関税政策がなかった場合と比べて0.8ポイント低下するとしている(「ロイター」11月6日)。スカイニュース(11月6日付)は、英国の自動車、医薬品、酒類の対米輸出が影響を受ける可能性があるとしたほか、国内のインフレにもつながるリスクがあるとしている。

労働党とトランプ氏の関係を懸念する声もある。スターマー氏はトランプ氏に対する暗殺未遂事件(2024年7月)の直後に同氏と電話会談し、9月にはスターマー氏とデービッド・ラミー外務・英連邦・開発相が訪米してトランプ氏と夕食を共にするなど、関係構築に取り組んできた。一方、労働党は米民主党との関係が近い。10月には労働党のソフィア・パテル氏が行った民主党支援に関する投稿について、トランプ氏の選挙陣営が連邦選挙管理委員会(FEC)に苦情を申し立てている(2024年10月30日記事参照)。また、英国でトランプ氏と関係が近いとされているのは右派リフォームUKのナイジェル・ファラージ党首、元首相のボリス・ジョンソン氏らに限られ、政権内には不在とされている(「ブルームバーグ」11月7日)。

2国間関係に加え、米EU関係の変化に伴う影響を指摘する声もある。英国コンサルティング企業フリント・グローバルの共同創業者サイモン・フレーザー氏は、今回の米国の選挙結果を受け、労働党政権の外交政策の主要な柱である「米国との強力な関係」と「EUとの関係の刷新」の間に緊張を生むリスクがあるとし、米EU間で緊張が高まった場合、英国は難しい選択を迫られることになるとしている。

(山田恭之)

(英国、米国)

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