米GMとフォード、トランプ次期政権下でも電動化を含む現行の事業戦略を維持(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月22日 14時35分
米国自動車メーカーのゼネラルモーターズ(GM)とフォードは11月20日、ニューヨーク市で開催された「バークレイズ・グローバル・オート・モビリティ・テック年次大会」にて、共和党のドナルド・トランプ次期大統領就任(2025年1月)に伴う新政権発足後も、電動化を含む自社の事業戦略を維持するとの意向を示した。
フォードのジョン・ローラー最高財務責任者(CFO)は、次期政権下で、インフレ削減法(IRA)の撤回や排出ガス基準値の緩和の可能性について聞かれるが、「(自社の)戦略自体は変わらない。われわれはバッテリー電気自動車(BEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、ハイブリッド車(HEV)を含む複数の選択肢を提供し、消費者が各自のニーズに合った車両を選べるようにする」と述べた。政策の変更は避けられないとした上で、「さまざまなシナリオをモデル化し、状況に応じ調整しながら対応していく」とも述べている。また、2025年初頭に次期CFOに就任予定のシェリー・ハウス氏は「われわれは121年間、政策の変化に適応してきた。フォードのサイクルプランは政治サイクルよりも長い。(規制以外にも)インフレの可能性や為替などあらゆる項目を分析し、状況に応じシナリオを最適化していくが、方針は変えない」と述べた。
GMのポール・ジェイコブソンCFOは、電気自動車(EV)政策の変更可能性について「推測するのは時期尚早」と述べつつ、フォード同様「EVの長期的な成長を計画しており、コスト削減と規模の拡大に注力していく」とし、「現在行っていることの多くは、規制がどうなるかに関係なく継続する」と述べた。さらに、欧州では市場の自然発生的な需要に対しEV販売義務が過大になっているとの認識の下、「消費者の需要と規制のバランスをとることが重要だ」と付け加えた。トランプ次期政権に引き継がれる可能性の高い対中政策に関しては、GMは北米生産で「ごく少数」の中国製部品を使用していると述べ、次期政権下での貿易による潜在的な影響は「管理可能」だとし、「新政権と協力し最適な方針を描き出す」と述べた。現在のEV市場は「普及率にはアップダウンがあり、まっすぐ上昇することはないだろうと、われわれは繰り返し述べてきた。当社のEVは業界全体よりも速いペースで成長している」と述べ、今後のシェア獲得に自信を示した。
報道によると、関係者筋の話として、新政権がすでにIRAによるクリーンビークル購入時の7,500ドルの税額控除の撤廃や、燃費基準値などの緩和の検討を始めているという(ロイター11月15日、ブルームバーグ11月19日)。トランプ氏は前政権就任時に、2021~2026年製車に対する温室効果ガス(GHG)排出基準値の緩和や、カリフォルニア州に対する適用除外の撤回など、環境規制に関する一連の見直し行っている。
(大原典子)
(米国)
外部リンク
- バイデン米政権、G20首脳会合に合わせ、米国の取り組みを記したファクトシートを発表(米国、ブラジル)
- G20リオ首脳会合、飢餓対策と超富裕層への課税強化の協力で合意(世界、アルゼンチン、ブラジル)
- EU、強制労働製品のEU域内流通と域外輸出を禁止する規則案を採択、3年後に適用開始(EU)
- 米ケンタッキー州フォード系バッテリー工場で従業員の過半数が組合授権カードに署名(米国)
- 米商務省、国家安全保障におけるAIリスク検証のタスクフォース設置(米国)
- 深セン湾口岸と拱北口岸の出入境で「書類不要」レーンを試験的に運用開始(マカオ、中国、香港)
- MIHASがドバイで初開催、マレーシア・ハラール製品の中東市場への販路開拓を図る(マレーシア、アラブ首長国連邦)
- 「第10回中国国際シルバー産業博覧会」にジャパンパビリオン出展(中国)
- 四川省、水素エネルギー産業行動方案を発表(中国)
- インド工科大学ガンディナガル校で、ジェトロが視察ツアー開催(インド)
この記事に関連するニュース
-
トランプ米次期大統領のEV補助金廃止検討、韓国バッテリー業界に衝撃、関連銘柄が急落
Record China / 2024年11月23日 7時0分
-
米電力業界、次期政権にインフレ抑制法の税制優遇策存続を要望
ロイター / 2024年11月22日 9時52分
-
バイデン氏の燃費規制厳格化を撤回へ、トランプ次期政権が計画
ロイター / 2024年11月20日 10時1分
-
「トランプ政権復活」で、どうなるテック業界 日本含めた影響を予測する
ITmedia NEWS / 2024年11月8日 13時24分
-
米国大統領選挙:投資家への影響
Digital PR Platform / 2024年11月8日 10時0分
ランキング
-
1「イスラエル首相に逮捕状」で分かれる各国の反応 米国は反発も、トランプ氏の対応に注目
産経ニュース / 2024年11月22日 20時59分
-
2中国、持論を曲げ対日ビザ免除再開 景気低迷やトランプ氏再登板が影響か 日本側は驚き
産経ニュース / 2024年11月22日 19時44分
-
3露の中距離弾道ミサイル発射 米国防総省「事前通知があった」 プーチン大統領は“ウクライナ東部の兵器工場が標的だった”
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月22日 11時43分
-
4共産主義時代の政治犯刑務所 忌まわしい記憶を「遺産」に ルーマニア
AFPBB News / 2024年11月22日 19時51分
-
5紛争地の人道支援で死者281人 過去最悪、ガザ被害中心
共同通信 / 2024年11月23日 7時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください