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米USTR、中国の半導体産業に関する301条調査開始、レガシー半導体や基板に焦点(米国、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月24日 13時25分

米国通商代表部(USTR)は12月23日、中国の半導体産業に関する措置・政策・慣行を対象に、1974年通商法301条に基づく調査(301条調査)を開始したと発表した。自動車や産業機械などに幅広く用いられる非先端(レガシー)半導体や、シリコンカーバイド(SiC)など材料の基板を調査対象としている。調査結果によっては、中国原産のレガシー半導体などの米国への輸入にさらなる追加関税などが課される可能性がある。

米国の1974年通商法301条は、外国の通商措置や政策、慣行が通商協定に規定した米国の権利を侵害する場合や、不合理または差別的で米国の商業に負担や制限を与える場合に、USTRに追加関税などの輸入制限措置を発動する権限を認めている。ただし、USTRは輸入制限措置の発動に先立って調査を実施することや、調査開始時に相手国に協議を要請することなどが義務付けられる。

USTRは今回、「中国は、半導体産業の自国および世界市場の独占を企図して、さまざまな反競争的、かつ非市場的手段を駆使している」「中国の措置、政策、慣行は米国や各国経済に有害な影響を及ぼす恐れがあり、米国の産業と労働者の競争力、重要なサプライチェーン、経済安全保障を損なっている」などと問題視した。

USTRが同日公表した官報案によると、USTRは2025年1月6日~2月5日にウェブサイトでパブコメ(ドケット番号:USTR-2024-0024)を受け付けるほか、3月11~12日に公聴会を開催する。米国ではトランプ次期政権が2025年1月20日に発足するため、パブコメや公聴会を踏まえた調査の取りまとめは、新政権が担うことになる(注1)。

なお、中国原産品の米国輸入に対しては、12月時点で1万品目以上に7.5~100%の301条に基づく追加関税(301条関税)を課している(2024年6月18日付地域・分析レポート参照)。既存の301条関税でも、レガシー半導体〔米国関税分類番号(HTSコード)8541項の11品目、注2〕には25%の追加関税を課しており、追加関税率は2025年1月から50%に引き上げる予定だ。

商務省産業安全保障局(BIS)は12月6日に公表した半導体産業に関する報告書で、レガシー半導体を組み込んだ製品の部品数の多さを指摘し、中国製のレガシー半導体が混入するリスクや、サプライチェーンの透明性確保の難しさを問題視していた(2024年12月9日記事参照)。

米国の通商法に詳しい法律事務所は、既存の301条関税が課されているレガシー半導体を対象に、新たに調査が開始された目的について、詳細は不明だとしつつ、複数国にまたがるサプライチェーンを念頭に、中国製のレガシー半導体を組み込んだ製品に追加関税の対象を拡大する可能性を指摘している。

(注1)なお、USTRは、中国の海事・物流・造船産業(2024年4月18日記事参照)、ニカラグアの労働権・人権・法の支配(2024年12月11日記事参照)に関する301条調査も開始しており、いずれも新政権発足後に調査結果が公表される見込み。

(注2)一般的に、HTS8541項に含まれる品目がレガシー半導体、8542項が先端半導体を指す。両項の基本税率は無税(ただし、特定国に対する税率は20~35%)。

(葛西泰介)

(米国、中国)

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