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ジェトロ、経済安全保障の情勢や中国の営業秘密に関する制度についてセミナー実施(中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月26日 0時50分

ジェトロは8月2日、オンラインセミナー「経済安全保障時代の営業秘密漏えい対策~中国編~」を開催した。経済安全保障を巡る主要国の規制動向や、サプライチェーン強靭(きょうじん)化、リスク管理などで日本企業に求められる具体的対応について解説した。また、中国の営業秘密に関わる制度や実務上の留意点などについても、具体的事例とともに解説した。海外からの参加者も含め、600人を超える参加があった。

はじめに登壇したジェトロ調査部国際経済課の藪恭兵課長代理は「経済安全保障をめぐる国際動向と日本企業の対応」と題して講演した。講演では、一部の国で導入されている通商面に対する政策介入やその影響、米国が導入した輸出管理規制がグローバル企業のサプライチェーンに与える影響などについて解説した。また、経済安全保障が重視される中、日本企業が中国以外の国・地域への販路多元化を図る動きが目立つことにも言及した。

次に登壇した上海魏和劉法律事務所の郝美満弁護士は「中国における営業秘密漏えい対策」と題して、中国の営業秘密の定義や営業秘密と判断される要件、データ3法(注)の下で営業秘密保持に関わる外資企業の義務について解説した。また、具体的な営業秘密漏えい事例について、吉利汽車と威馬汽車の民事訴訟を取り上げ、営業秘密の漏えいが認定された際の主な判決の決定要素や、営業秘密が漏えいした要因などについて指摘した。さらに、実際に営業秘密の侵害被害にあった際に、行政摘発、民事訴訟、刑事ルートという3つの事後対策手段について、それぞれのメリットや適用される案件の種類について紹介した。

参加者は、中国ビジネスを継続させていく上で日本企業が行うべき対応や、従業員が離職した際の契約上の守秘義務の実効性、営業秘密へのアクセス制限の設定、従業員への許可基準などについて興味を示していた。

今回のセミナーは、経済産業省委託「海外における営業秘密漏えい対策支援事業」の広報セミナーとして行われた。ジェトロでは2019年度から同事業を実施しており、2024年度は中国、タイ、ベトナム、インドネシア、インド、欧州の一部を対象国・地域とし、そこに現地法人のある日本企業に対し、営業秘密保護の体制構築に関する現地の専門家によるコンサルテーションや社員向け研修といったサービスを提供している。

(注)サイバーセキュリティー法、データセキュリティー法、個人情報保護法を指す。

(泉高晟)

(中国)

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