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COP29で重要鉱物の公平な分配を要求(世界、アフリカ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月15日 16時10分

国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)が11月11日、アゼルバイジャンのバクーで開幕した(2024年11月12日記事参照)。国連貿易開発会議(UNCTAD)のレベッカ・グリンスパン事務局長はCOP29のハイレベル会合で、脱炭素技術・製品に必要な重要鉱物に関する利益について、発展途上国も含めて公平に分配することを求めた。UNCTADの11月13日の発表によると、主に次の課題が解決を推進する必要があるという。

インフラと生産の多様化への投資:グローバルサウスでは重要鉱物の採掘プロジェクトに2,250億ドルの投資が不足。
公正な貿易ルールと市場アクセス:クリーンテクノロジーに対する関税は化石燃料に対する関税の平均2倍。
透明性と適切なガバナンス:重要鉱物の恩恵が行き渡るためには、適切な制度、透明な規制、行政ガバナンスが不可欠。
知識の共有:技術開発は非常に速いが、(グローバルサウスへの)技術移転は依然として非常に遅い。

国際エネルギー機関(IEA)によると、気候危機の深刻化に伴い、クリーンエネルギーに関する技術や機器に必要な重要鉱物の需要が急増している。特に電気自動車(EV)の製造に不可欠なリチウムの需要は2030年までに現在の3倍、2040年までに4倍になるとの予測だ。重要鉱物市場は現在3,250億ドルだが、2040年までに7,000億ドルに達する可能性があるという。EVや充電池、ソーラーパネルを含むクリーンテクノロジー部門では現在7,000億ドルの市場規模で、2035年までに3兆3,000億ドルに急騰するとの予測を示す。

一方で、資源産出される発展途上国では、輸出収入の60%以上を「原材料」に依存しているという。グリンスパン事務局長は、今後、発展途上国が重要鉱物の潜在能力を最大限に活用し、製造・加工などを行うことで、原材料輸出への依存から脱却する必要があるとした。

特にアフリカは、エネルギー転換に不可欠な金属の世界埋蔵量の5分の1以上を保有しているが、脱炭素技術で付加価値の高い製造・加工の多くはアフリカ域外で行われているという。このため、アフリカでは重要鉱物から得られる潜在的収益のわずか40%しか獲得していないほか、世界の太陽光発電容量のわずか1%を占めているのみだという。

COP29に関する情報はジェトロのビジネス短信特集「COP29に係る各国の反応」も参照。

(井澤壌士)

(世界、アフリカ)

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