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ジェトロ、日墨クリーン水素フォーラムを開催(メキシコ、日本)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月11日 0時40分

ジェトロは9月5日、国際協力銀行(JBIC)およびメキシコ日本商工会議所と共催で「日墨クリーン水素フォーラム」をメキシコ市で開催した。このフォーラムは、メキシコの持つクリーン水素(注)の生成・貯蔵・輸送・消費、そしてメキシコが輸出の拠点となるポテンシャルについての共通認識を構築するとともに、メキシコ政府としての国家戦略の制定や、実際にバリューチェーンに携わる民間企業にフレンドリーなビジネス環境整備の必要性を訴える目的で開催されたもの。来場者は、メキシコの連邦政府関係者や州政府関係者、日系・非日系民間企業など約70人を数えた。

フォーラムは主に3つのパネルディスカッション(パネル)で構成され、第1パネルでは、「メキシコにおける水素サプライチェーン構築のポテンシャルと課題」と題して中野有貴氏(JBICメキシコシティ駐在員事務所首席駐在員)、イスラエル・ウルタド氏(メキシコ水素協会会長)、中畑貴雄(ジェトロ調査部主任調査研究員)がパネリストとして登壇。各パネリストからメキシコの持つ可能性や現在抱える課題について言及があったほか、中畑主任調査研究員からは輸送や貯蔵の際の課題を解決しうる日本企業の技術が紹介され、来場者の関心を集めた。

第2パネルでは、「州政府および非日系企業による水素関連プロジェクトへの取り組み事例」をテーマに、すでにメキシコ国内で複数のクリーン水素関連プロジェクトに取り組むフランス系企業や国連開発計画(UNDP)のパネリストから、メキシコ市場の魅力や民間企業と地方政府との連携事例について言及がなされた。

締めくくりとなる第3パネルでは、「日系・グローバル企業による水素関連事業の取り組み事例とメキシコでの可能性」と題し、トヨタ、三井物産、三菱パワー、JBICの担当者が登壇。各社がメキシコ以外の国で推し進めるクリーン水素関連プロジェクトを紹介し、これらをメキシコで導入する効果やメリットに加え、実現に必要なメキシコ側の体制や国家戦略策定の必要性を強調した。最後に最も重要な点として、オールジャパンとしてメキシコ政府の国家戦略策定プロセスに協力する用意があることを強調した。

写真 第3パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

第3パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

現在、メキシコには、連邦政府が示すクリーン水素戦略に関するロードマップは存在しない。2024年3月に同分野に関する大枠の方針が出されたが、投資を呼び込むための法規制改善やインセンティブの設定を推し進め、民間企業による川上から川下までのプロジェクトの投資を促すためにも、具体的な政府目標や戦略を示すロードマップの作成・公表が待たれる状況だ。10月1日に発足する新政権では、環境学博士号を保有するクラウディア・シェインバウム氏が政権を握る。メキシコが本来持つクリーンエネルギー活用のポテンシャルを最大限生かす方向にかじを切るような政策に期待が集まる。

(注)ここでは、再生可能エネルギーを使って生成する「グリーン水素」と、石油・天然ガスといった化石燃料から抽出される水素を取り出す際に排出される二酸化炭素(CO2)を貯留して処理する「ブルー水素」の2種類の水素を指す。

(渡邊千尋)

(メキシコ、日本)

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