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米保守系シンクタンクの政策案「プロジェクト2025」の責任者が退任、影響力は継続との見方も(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月1日 11時35分

米国の首都ワシントンの保守系シンクタンク、ヘリテージ財団のケビン・ロバーツ会長は7月30日、同財団が主導していた「プロジェクト2025」の責任者で、トランプ前政権下で人事管理局(OPM)の首席補佐官を務めたポール・ダンス氏が退任したと発表した。複数の米主要メディアが報じた。

プロジェクト2025は、米国を「急進左派の支配から救い出し」、次期保守派政権が「初日からアジェンダを実行に移す」ための政策提言書となっている。100を超える保守系団体が賛同し、400人以上の学者や政策専門家によって策定され、ドナルド・トランプ前大統領が11月の大統領選挙で再選された場合の政策方針をうかがう資料の1つとされている。だが最近は、無党派層の支持を拡大したいトランプ氏の選挙陣営が同氏の政策よりも保守的だと批判していた。例えば、大統領選の争点の1つとなっている人工妊娠中絶について、共和党の政策綱領では「遅い時期の中絶に対しては反対する」と述べるにとどめているが(2024年7月9日記事参照)、プロジェクト2025では「次期保守派の大統領は、罪のない生命を守るために既存の連邦政府の権限を行使し、人工妊娠中絶への連邦政府の資金提供を禁止しながら、議会が支持する最も妥協のない胎児を保護する法律を制定するために議会と協力すべき」と記載している。民主党はこうした政策を極端に保守的だと批判しており、同党の政策綱領の草案はプロジェクト2025と対比するかたちで発表されている(2024年7月17日記事参照)。

ダンス氏の退任に際し、トランプ陣営のシニアアドバイザーのクリス・ラシビータ氏とスージー・ワイルズ氏は「トランプ(前)大統領の選挙陣営は、プロジェクト2025とは無関係だ。選挙キャンペーンを代弁するものでもなく、選挙陣営や大統領といかなるかたちであれ関連付けるべきでないことを1年以上にわたって明確に表明してきた」とした上で、「プロジェクト2025の消滅を歓迎」する声明を発表した。

一方で、今回の退任は、人工妊娠中絶など共和党の特定の政策に不本意な注目をもたらしたことなどに対する「何らかの償い」であり、プロジェクト2025やヘリテージ財団の影響力は継続するとの見方もある。米国の政治動向に詳しい専門家は、トランプ陣営がプロジェクト2025と完全に距離を置くにはあまりにも多くの人が関与しており、トランプ政権が2025年に再度誕生した際には、同プロジェクトに関わった専門家が政権内で中核的な役職を担う可能性は依然としてあると指摘する。

ヘリテージ財団のロバーツ会長はダンス氏の退任について、「2022年4月にプロジェクト2025を開始した際、われわれは2024年の(共和・民主)両党の全国大会後に政策立案を終了させるというスケジュールを設定し、そのスケジュールに忠実だ」と述べるにとどめている(政治専門紙「ザ・ヒル」7月30日)。

(赤平大寿)

(米国)

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