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米財務省、大企業向け最低法人税率の導入に関する規則案を発表(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月13日 14時25分

米国財務省は9月12日、インフレ削減法(IRA)に基づく大企業向けの最低法人税率の導入に向けた規則案を発表した。企業が株主に対して示す利益の15%を最低法人税として課す方針。同規則案について、12月12日までパブリックコメントを受け付ける。

IRAには、気候変動対策をはじめとする歳出増加項目とともに、薬価引き下げに伴うメディケアへの財政負担軽減(2024年8月16日記事参照)や自社株買いに対する課税強化などの財政赤字削減策も複数含まれている。今回規則案が発表された最低法人税率の導入も、2021年のOECD/G20合意(2021年10月14日記事参照)を踏まえつつ、財政赤字削減策の一環として盛り込まれていた。

財務省によると、規則案の対象となるのは、年間平均で10億ドルを超える利益を上げている企業で、約100社が対象になる見込みという。これらの企業に課税することにより10年間(2025~2034年)で2,500億ドルの歳入増を見込む。これらの企業は、株主に対して記録的な利益を報告し、自社の株価上昇につなげている一方、税額控除などを利用して連邦法人税の算定に利用される利益を圧縮することで、実効税率を平均2.6%程度(注1)に縮減しているとのことだ。こうした税逃れともいえる状況は、会計士などを雇用する余力のない中小企業にとって不公平な競争環境となっているとして、最低法人税率を導入することにより、競争環境の改善を狙う。

バイデン政権の中小企業重視の姿勢は、大統領選挙におけるカマラ・ハリス副大統領の政策にも引き継がれている。ハリス副大統領は9月4日にニューハンプシャー州で行った選挙キャンペーンで、中小企業を立ち上げた場合に最大5万ドル(現行の10倍)の税額控除を設ける計画を示した。こうした中小企業重視と大企業への応分の負担を求める姿勢は、ドナルド・トランプ前大統領の掲げる政策(注2)とは好対照をなしており、大統領選の見どころの1つとなっている。

ジェトロの特集ページ「2024年米国大統領選挙に向けての動き」では、大統領選挙に関する最新動向を随時紹介している。

(注1)財務省の試算では、対象企業のうち、実効税率がゼロだった企業が25%、1%未満だった企業が60%存在する。

(注2)例えばトランプ前大統領は、法人税を現行の21%から15%または20%に引き下げることや、トランプ減税の延長の一環として研究開発投資に対する税額控除を提案しており、これらは大企業も含めて対象となっている。

(加藤翔一)

(米国)

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