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国務院、2024~2025年の省エネ・炭素削減行動プラン発表(中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月12日 0時5分

中国国務院は5月29日、「2024~2025年の省エネ・炭素削減行動プラン」(国発[2024]12号)を発表した。行動プランは、2021年に発表した第14次5カ年(2021~2025年)規画で掲げた2025年までの省エネ・炭素削減目標達成のため、2024年と2025年の目標や行動プランを示した(注1)。具体的には、化石燃料消費の削減と再生可能エネルギーの利用促進、重点産業別の省エネ・炭素削減のための特別措置などを提示した。

化石燃料消費の削減については、石炭火力発電所の「三改連動」(注2)の推進、シェールガスや炭素ガスなど非在来型石油・ガス資源の大規模開発などに取り組む方針を示した。

再生可能エネルギーの利用促進では、砂漠地域での大規模風力発電所と太陽光発電所、洋上風力発電所、大型水力発電所の建設など、自然エネルギーを活用した発電所の建設を加速するほか、地域の特色に合わせてバイオエネルギーや水素エネルギーの開発も推進するとし、2025年末までには非化石燃料による発電の割合を約39%まで引き上げる目標を掲げた。また、天候に左右されて安定供給が難しい自然エネルギーの利用を拡大するため、発電した電気を外部へ送電、または蓄電する施策も示した。大規模風力発電所・太陽光発電所には外部送電線を建設し、地域間の送電能力を向上させるほか、揚水発電を活用した電力貯蓄や新型蓄電池など、蓄電機能の開発にも力を入れる。2025年までには揚水発電による蓄電と新型エネルギー貯蓄設備により、それぞれ6,200万キロワット(kW)、4,000万kWの電力貯蓄を可能とする目標を示した。さらに、マイクログリッド(注3)やバーチャルパワープラント(注4)、V2G(注5)などの新技術・新モジュールの開発も積極的行っていく方針だ。

重点産業別の省エネ・炭素削減のための特別措置については、鉄鋼、石油化学、非鉄金属、建材、建築、交通運輸、公共機関、エネルギー消費製品の8分野で措置や目標を示した。具体的には、第14次5カ年規画の目標達成が遅れている地域での新たな鉄鋼生産設備の建設を禁止する。また、港湾集配鉄道、物流園区、大規模鉱業企業向けの専用鉄道の建設を促進し、2025年末までに鉄道と水路を活用した貨物量を2020年比それぞれ10%、12%引き上げることも盛り込んだ。さらに、産業用ボイラーなどの工業企業の設備の省エネ・高効率化に加え、家庭用冷凍庫や照明機器などの省エネ製品の割合を引き上げるほか、廃棄品の回収・再利用システムの構築を強化する方針も示した。

(注1)第14次5カ年規画では、単位GDP当たりのエネルギー消費量と二酸化炭素(CO2)排出量をそれぞれ13.5%、18.0%引き下げるとした。

(注2)石炭火力発電所の省エネ・炭素削減、熱供給、柔軟稼働の3つの分野の改造を指す。

(注3)マイクログリッド(小規模電力網)とは、複数の分散型電源や電力貯蔵システムを組み合わせ、需要に応じて分散型電源をコントロールすることで、エネルギーを地産地消する仕組みのこと。

(注4)全国各地に点在している太陽光発電などの再生可能エネルギーや蓄電池、電気自動車(EV)のエネルギーリソースを、IoT(モノのインターネット)技術を使って制御し、あたかも大きな1つの発電所のように機能させる仕組み。

(注5)EVの蓄電池を送配電系統に接続して充放電する技術(Vehicle to Grid)。

(高畑友香)

(中国)

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