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トランプ氏、共和党大会で中国自動車メーカーの米国生産を容認と取れる発言(米国、メキシコ、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月22日 11時45分

米国のドナルド・トランプ前大統領は7月18日、ウィスコンシン州ミルウォーキーで開催された共和党全国大会で、中国の自動車メーカーによる米国での生産を認めると取れる趣旨の発言を行った(2024年7月22日記事参照)。

米国では現在、メキシコで生産された安価な中国メーカー車の米国市場参入を懸念する声が高まっている(注1)。トランプ氏は「今まさに、国境を越えたメキシコで、米国で販売する自動車を生産するための大規模な自動車工場が中国によって建設されようとしている」「われわれは自動車生産を米国内へ早急に取り戻す」「(これら工場は)米国に建設され、米国人がその工場で働くことになる」と述べ、「中国メーカーが(米国内に工場を建てることに)同意しなければ、100%から200%の輸入関税を課す」と、米国での生産を促す趣旨の発言をした。トランプ氏は3月にオハイオ州での遊説会でも、中国メーカーの拠点設立を歓迎する発言を行ったとされる(ブルームバーグ7月18日)。

また、民主党のジョー・バイデン大統領への支持を表明した全米自動車労働組合(UAW)に対しては、中国によるメキシコでの工場建設を許したとして「恥じるべきだ」と批判。「UAWのリーダーは直ちに解雇されるべきだ。組合員・非組合員を問わず、全ての自動車労働者はドナルド・トランプに投票すべきだ」と述べた。

バイデン氏とトランプ氏は、中国製品の排除という点では基本方針は同じだ。しかし、バイデン現政権では、インフレ削減法(IRA)などにより、中国メーカーを排除した国内生産体制の強化に努めており、今回のトランプ氏の発言により両者の立場の違いが垣間見えたかたちだ。

メキシコで現在生産する中国メーカーは安徽江淮汽車集団(JAC)のみ(注2)。生産台数は同国全体の0.6%に当たる約2万2,000台と限定的で、全てメキシコ国内販売向けだ(2024年7月3日付地域・分析レポート参照)。そのほか、中国の電気自動車(EV)最大手の比亜迪(BYD)がメキシコに年間生産能力15万台規模の拠点新設を検討していると報じられている。ただ、トランプ氏は「(就任)初日にEVの義務化を終わらせる」とも述べるなど、依然としてEVシフトへの懐疑的な姿勢は崩しておらず、先の発言が同社のEV生産拠点を念頭に入れたものかは不明だ。

(注1)米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の下、一定の条件を満たせばメキシコからの輸入関税は免除される。

(注2)出所:メキシコ国立統計地理情報院

(大原典子)

(米国、メキシコ、中国)

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