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EV充電インフラを国家電力システムに組み込む方策を発表(メキシコ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月19日 1時10分

メキシコのエネルギー規制委員会(CRE)は9月10日の連邦官報で、電気自動車(EV)およびプラグインハイブリッド車(PHEV)の充電インフラをスマートグリッドの一部として国家電力システム(SEN)に統合するためのガイドラインと、同インフラの発展を周知するためのオンラインプラットフォームの設置を発表し、翌日から施行した。

ガイドラインの目的として挙げられているのは次の2点。

1. 電力供給の継続性および信頼性のため、「エンドユーザー」(注)が順守すべき技術面および管理面での要件を定める。
2. オンラインプラットフォーム(ガイドライン発効から24カ月以内にCREが整備するもので、充電設備や充電コストなどに係る情報を掲載予定)上に統合することを目的に、充電設備の持ち主および電力供給業者が最低限提供すべき情報を明確にする。

なお、オンラインプラットフォームが運用を開始するまでの間、SENに接続する「エンドユーザー」は、ウェブサイトやスマートフォンアプリ、充電機の電子パネルなどに、本官報の別添第6章および第8章に定められた必要事項を明記しておく必要がある。

具体的なガイドラインは本官報の別添に定められており、順守の対象となるのは国家電力管理センター(CENACE)およびSENに接続する充電インフラ導入に関わる輸送業者、配電事業者〔電力庁(CFE)の配電部門〕、電力供給業者、そして「エンドユーザー」だ。具体的なガイドラインの主な構成は次のとおり。

充電設備を設置する「エンドユーザー」がCENACE宛てに行う申請(第4章)
充電設備の設置時に順守すべき事項(第5章)
有料・無料のEV充電設備、貨物・旅客輸送用EV充電設備それぞれにおいて表示すべき情報や「エンドユーザー」の順守すべき事項(第6章)
バッテリー交換施設の設置時に順守すべき事項(第7章)
「エンドユーザー」、電力供給業者がそれぞれCREやCENACEに報告しなければならない事項(第8章)
CREが実施する監査(第9章)
「エンドユーザー」、電力供給業者、配電事業者、CENACEそれぞれの責任および義務(第10章)

7月12日にメキシコ経営者連合会(COPARMEX)がCREの委員を招いて開催したセミナーでは、2013年に実施されたエネルギー改革後、電力市場に混乱が起きたことから、CREは法規制の整備によりエネルギー分野の発展を促し、その主導権と安全性の強化に力を入れていることが強調された。今回の方策発表は、かねてメキシコ国内でのEV普及の足かせとなっていた充電インフラの不足の解決へ向けて足並みをそろえて取り組むという狙いに加え、EVを「蓄電池」と捉えてスマートグリッドに接続し、電力需給のバランスをとるツールとして活用する狙いもあるとみられる。電力不足が原因でニアショアリング(生産拠点を消費地の近隣国に移転すること)の恩恵を享受しきれない可能性が高まる中、この方策がどう機能するのかが注目される。

(注)本官報内では、自身または自身が管理する施設内での消費を目的に、電力卸売市場の参加者として直接または電力供給業者経由で電力を購入する個人事業主または企業・団体を指す。つまりEV・PHEVの充電設備を持ち、管理する個人および企業・団体と考えてよい。

(渡邊千尋)

(メキシコ)

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