スリランカ、債権国と2国間債務の再編で最終合意(スリランカ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月4日 0時20分
スリランカ大統領府は6月26日、日本、フランス、インドが主導する債権国会合および中国輸出入銀行との間で、2国間債務の再編に関する最終合意を締結したと発表した。本合意では、スリランカが抱える2国間債務の返済期限延長、返済猶予期間の開始、大幅な金利引き下げが認められた。スリランカの2国間債務は2024年3月末時点で40の相手に対し合計105億8,860万ドル(添付資料表1参照)となっている。政府は、本合意により外国政府が融資するインフラプロジェクトが再開され、雇用創出や経済回復につながることを期待している。
ラニル・ウィクラマシンハ大統領は同日の演説で、本合意の意義として次の点を強調した。
2国間借款の支払いの2028年までの延期
借款返済への譲許的な条件の適用
借款返済期限の2043年までの延長
対外債務の返済額を2022年のGDP比9.2%から、2027年から2032年までの間は同4.5%未満にまで抑制すること。
必要な歳入規模を2022年のGDP比34.6%から、2027年から2032年までの間は同13%未満にまで縮小すること。
コロンボ空港、軽量輸送システム(LRT)、高速道路など外国借款によるプロジェクト再開への準備
他方、スリランカ政府は、同国の対外債務で最大の割合を占める民間債権者との債務再編交渉を継続している(添付資料表2参照、2024年4月30日記事参照)。同政府は、民間債権者との合意によりスリランカに対する国際的な信用格付けを改善し、海外への資金調達環境を向上させることを目指している。
これに関連し、ジェトロが2023年8月から9月にかけてスリランカに拠点を構える日系企業を対象に実施した、2022年春以降のスリランカ経済危機の影響に関するアンケート調査では、「停電がなくなった」「ガソリン・燃料不足が確保された」という改善点が指摘される一方で、「スリランカ・ルピー為替の回復」や「金融決済」が改善されたという回答は少なく、スリランカに対する金融面での国際的信用の回復が課題として残っている(2023年12月25日記事参照)。
(大井裕貴)
(スリランカ)
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