トランプ米大統領、米国第一の通商政策発表、中国とのPNTR見直しを指示(米国、中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月22日 14時45分
米国のドナルド・トランプ大統領は就任初日の1月20日、米国第一の通商政策と題する大統領覚書を発表した。そのうち「中国との経済および通商関係」では、中国による通商協定の順守状況や、恒久的正常貿易関係(PNTR)の見直しなどを指示した(添付資料表参照)。
まずはじめに、トランプ政権1期目の2020年1月に発効した中国との第1段階の経済・貿易協定(2020年1月17日記事参照)の順守状況を見直し、必要に応じて関税賦課など適切な措置を講じるよう、米国通商代表部(USTR)に指示した。1974年通商法301条に基づく対中追加関税については、2024年5月に発表された見直し報告書を評価し(2024年5月15日記事参照)、必要に応じて追加関税率の変更を検討するよう指示した。同法では、追加関税賦課などの措置から4年後に見直しを行うことを定めている。バイデン政権は、段階的に見直し結果を公表し、2024年12月に最終結果を公表していた(2024年12月12日記事参照)。その結果、電気自動車(EV)や半導体、重要鉱物などへの追加関税率が引き上げられている。なお、大統領覚書では、不合理または差別的であり、米国の通商に負担をかけたり制限を加えたりする可能性のある中国による政策、慣行などを調査し、適切な措置を勧告するよう指示もしている。
また、中国とのPNTRを評価し、修正するべきかどうか提案するよう、USTRに指示した。米国の関税体系は、PNTRのステータスを与えられた国などに対する特恵税率が適用される関税率(コラム1)と、特定国向けの関税率(コラム2)に分かれており(注1)、コラム2の関税率はコラム1よりも高く設定している。中国に対するPNTRの撤回は、前議会でも法案が提出されるなど、対中強硬派の議員を中心に関心を集めていた(2024年11月18日記事参照、注2)。
「不公正かつ不均衡な貿易への対処」については、2025年1月22日記事、「経済安全保障に関する追加事項」については2025年1月22日記事を参照。
(注1)コラム2の関税率が適用されているのは、ベラルーシ、北朝鮮、キューバ、ロシアの4カ国。
(注2)PNTR撤回法案は前議会で成立せず、廃案となった。
(赤平大寿)
(米国、中国)
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