2030年のコバルト需要は34万トン、産出シェアはコンゴ民主共和国が66%、IEA予測(世界、アフリカ、コンゴ民主共和国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月28日 0時5分
国際エネルギー機関(IEA)は5月17日、クリティカルミネラル(重要鉱物)に関する報告書「Global Critical Minerals Outlook 2024」を発表した。それによると、6年後の2030年のコバルト産出のシェアは、コンゴ民主共和国(DRC)が66%、インドネシアが10%、ロシアが3%になるとの見込みだ。また、同年のコバルト製錬のシェアは、中国が74%、フィンランドが6%、日本が4%になるとの予測を示した。コバルト需要は2021年に約18万トン、2023年に約22万トンだったが、2030年には約34万トン(うち気候変動対策関連で約18万トン)にまで拡大する。
2023年の電気自動車(EV)、風力や太陽光などの再生可能エネルギー技術に使用される重要鉱物は、供給が需要を上回ったため、価格は下落した。特に電池関連の重要鉱物の価格は2021年、2022年に高騰したが、2023年にはリチウムが前年比75%下落、コバルト、ニッケル、グラファイトが同30~45%下落し、電池自体の価格を14%引き下げた。
なお、重要鉱物の採掘への投資は、2023年は前年比10%増、探査費は同15%増となった。世界のEV販売台数は2030年までに現在の3~5倍の約4,500万~7,000万台に達すると見込まれ、車載バッテリーなどに利用される重要鉱物の需要も高まる。報告書では、21世紀半ばまでの温室効果ガス(GHG)排出の実質ゼロという目標を背景に、2040年までに重要鉱物の市場は現在の2倍以上の7,700億ドルに拡大するとの見込みを示す。アフリカでは2030年までに重要鉱物の市場が約65%拡大するとの予測になっている。
報告書では、重要鉱物の産出・供給国に偏りがあることや、供給量に限りがあることなどのリスクもあるとし、資源の再利用などに関する投資も重要と指摘した。
国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、気候変動対策関連の重要鉱物のうちアフリカの埋蔵量シェアが高いものとして、コバルトがアフリカ全体で世界シェアの48.1%、マンガンは同47.6%、天然グラファイトは同21.6%、銅は同5.9%、ニッケルは同5.6%となっている(2023年8月22日記事参照)。
(井澤壌士)
(世界、アフリカ、コンゴ民主共和国)
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