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米FRB、政策金利の誘導目標は据え置きも、9月利下げの可能性示唆(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月1日 14時30分

添付資料PDFファイル(329 KB)

米国連邦準備制度理事会(FRB)は7月30~31日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利のフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を現在の5.25~5.50%に据え置くことを決定した(添付資料図参照)。市場予想どおり今会合では政策金利を据え置く一方、声明文やFOMC後のジェローム・パウエルFRB議長の会見は、9月利下げの可能性について十分に含みを持たせる結果となった。

声明文では、政策金利を8会合連続で据え置くことが示された。据え置き決定は参加者12人の全会一致。インフレに関しては、このところの物価に関するデータ(2024年7月29日記事参照)を踏まえ、「幾分(somewhat)」との文言を追加して上昇ペースの緩和を表現したほか、FRBが目標とする2%目標の達成に向けて「幾らかの(some)」進展があったと表現を強め、インフレ率が低下傾向にあるとの認識を示した。

雇用情勢に関しては、雇用者数について「緩やかに増加(have moderated)」として、前回の「力強い増加を維持」(have remained strong)から下方修正するとともに、失業率も上昇したと表現し、労働市場が緩和しているとの認識を示した。加えて、今後の金融政策に関連する部分では、「インフレと雇用に関する目標達成に対するリスクは引き続き良い方向に向かっている」との認識を示した上で、前回までのインフレリスクを強調する表現を削除し、代わって「デュアル・マンデート(物価安定と雇用の最大化)の両面におけるリスクに注意する」との文言を追加した。経済認識に関しては、FOMC後の記者会見でも、パウエル議長が上述とほぼ同様の内容を示している(添付資料表参照)。

記者会見での質疑応答では、9月利下げの可否について質問が集中した。パウエル議長は「データ次第であり、将来の会合について何ら決定を下していない」との基本的なスタンスを維持する一方で、「まだその時点には達していないが、政策金利を引き下げるのが適切な時点に近づいている」「インフレが急速に低下し、労働市場が現在と同様の状況が続いている場合、9月の会合で利下げが議題に上る可能性がある」などとして、9月利下げに十分な含みを持たせる回答を行った。また、「今回の会合でも利下げすべきかどうか議論があった」と述べたほか、「インフレ率を引き下げるためにこれ以上労働市場を冷え込ませる必要はない」として、もはや労働市場をインフレ抑制のリスクとみていないとの発言もし、金融政策の局面が明確に変わりつつあることを示した。

次回(9月18日)のFOMC会合までに、雇用統計と消費者物価指数が各2回ずつ公表される。また、8月下旬にはカンザスシティー連銀が主催するジャクソン・ホール会議も開催され、パウエル議長も講演する予定だ。同イベントなどで9月利下げを支持する内容が示されるのか、実施する場合の利下げスピードや利下げ幅などについてどのような示唆が得られるのかが注目される。

(加藤翔一)

(米国)

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