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バイデン米政権、UFLPA事業者リストに中国の繊維企業3社追加(米国、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月5日 13時50分

米国国土安全保障省(DHS)は10月31日、ウイグル強制労働防止法(UFLPA)に基づく輸入禁止対象の事業者を掲載した「UFLPAエンティティー・リスト(EL)」に中国企業3社を追加したと発表した。翌11月1日付の官報で公示した。

UFLPAは2022年6月に施行された米国法だ。(1)物品の採掘・生産・製造が中国の新疆ウイグル自治区で行われた場合、または(2)UFLPAのELで指定された企業・団体が物品の生産などに関与した場合、強制労働の利用があるとみなして米国への輸入を禁止する。日本から米国への輸入であっても、これらに該当する中間財などを使用した物品は同法に基づく輸入差し止めなど取り締まりの対象となる。今回の追加指定で、EL掲載の事業者数は合計で78企業・団体となった(注1)。

今回追加指定されたのは、中国の繊維大手の溢達集団(エスケル・グループ)と、関連会社の広東溢達紡績(広東エスケル・テキスタイル)および吐鲁番溢達紡績(トルファン・エスケル・テキスタイル)の3社だ。いずれも新疆ウイグル自治区から綿花を調達したとの疑いに基づく。同グループは世界的に大規模な繊維企業で、日系企業を含む多くのアパレル関連企業に繊維やシャツを納品しているとされる。なお、関連会社の昌吉溢達紡績(昌吉エスケル・テキスタイル)は、2020年7月に輸出管理規則(EAR)に基づくEL(注2)に指定されているほか(2020年7月21日記事参照)、2022年6月にUFLPAのELに指定されている。

DHSのアレハンドロ・マヨルカス長官は発表で、「DHSは今後もUFLPAの積極的な執行を継続することで人権を擁護し、自由で公正な市場を守り、(人権侵害の)加害者に責任を取らせる」と述べた。

UFLPAのELへの追加指定は2024年以降、今回の発表を含めて5回目で、延べ39企業・団体に及ぶ(注3)。米国に輸出する企業にとっては、製品のサプライチェーンにおける日頃の人権デューディリジェンスの一環として、UFLPAのELに掲載された企業・団体との関わりを追加指定のたびに確認することが重要だ。

(注1)併せて指定されている子会社や関連組織を除く。UFLPAのELの詳細はDHSウェブサイト参照。

(注2)米国政府が「米国の国家安全保障または外交政策上の利益に反する行為に携わっている、またはその恐れがある」と判断した団体や個人を掲載したリストで、それらに米国製品(物品、ソフトウエア、技術)を輸出・再輸出・みなし輸出などを行う場合には、商務省産業安全保障局(BIS)の事前許可が必要となる(ただし、多くの場合で原則不許可の審査方針が取られる)。

(注3)UFLPAの概要や動向は、ジェトロ特集「ウイグル強制労働防止法」参照。

(葛西泰介)

(米国、中国)

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