国外購入物品携行時のVAT免税基準額を2025年1月から引き下げ(スイス)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月28日 0時30分
2025年1月から、スイス入国時に入国者が携行する国外で購入した物品に対する付加価値税(VAT)免税基準額が引き下げられ、1人1日150スイス・フラン(約2万6,250円、CHF、1CHF=約175円)を超える場合にVAT課税対象となる。現行では1人1日300CHFを超える場合にVAT課税対象となっており、合計金額が300CHFを超える場合、300CHFを超える部分だけでなく合計金額全体に対してVATが課税されている(連邦財務省関税局ウェブサイト参照)。このVAT免税措置がとられているのは、入国者自身が携行する私的利用の物品または贈答品の場合に限られ、飛行機で入国する場合や、スイス在住者が近隣国に買い物に行って再入国する場合も対象に含まれる。なお、オンラインで購入し郵送される越境EC(電子商取引)の物品のVAT課税については、標準税率8.1%の対象となる物品の場合は62CHF超、軽減税率(注1)2.6%の対象となる物品の場合は193CHF超のみが課税対象となる別の基準が設けられており、本措置の対象外。
対象は、関税免税品、たばこ、アルコール飲料、ペットなど原則として全ての携行品(国外で行われた自家用車の修理やメンテナンスサービス費も含まれる)。ただし、旅行者がスイスで使うために自国の出国時に所持している(またはスイス在住者が海外で使うためにスイス出国時に持参している)身の回り品、旅行用品、自家用車の燃料は対象外となる。対象の携行品に対して、標準税率8.1%または軽減税率2.6%のVATが課される。携行品の金額は、請求書やレシートなどの支払額、それらがない場合はその物品の時価に基づいて計算される。
今回の引き下げは、議会からの動議と、ショッピングツーリズムの削減を目的とした2州(ザンクト・ガレン、ツールガウ)のイニシアチブ(注2)に応えたものだ。「少量、少額、または税額が軽微な商品の非課税輸入を規定する施行令」〔10月7日付(施行は2025年1月1日)〕の改正が2024年10月16日、連邦参事会(内閣)に報告された。2023年11月から2024年3月までの諮問期間には、過半数の州と経済団体の代表、複数の政党が引き下げに賛同していた。
連邦財務省関税局のアプリ「QuickZoll」を使用し、携行する物品などを入力するとVAT額が計算できるほか、VATや関税を直接申告・納付することができる。ただし、「QuickZoll」では当面すべての物品に対して標準税率が課税される。軽減税率2.6%で申告したい場合には、直接国境の税関で申告するか、申告箱を使って書面で申告しなければならない。「QuickZoll」で軽減税率での申告ができるようになるのは、2026年からとされる。
(注1)食料品および飲料(アルコール飲料を除く)、医薬品、書籍、新聞など。
(注2)州によるイニシアチブは、州が憲法改正や新法、連邦決議を連邦議会に提案できるスイスの政治手段。
(深谷薫、パブロ・ダス)
(スイス)
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