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モーリタニアのガズアニ大統領、大統領選の第1次投票で再選確実(モーリタニア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月10日 1時5分

モーリタニア独立国家選挙委員会(CENI)のダー・ウルド・アブデル・ジェリル委員長は7月1日、同委員会本部での記者会見で、6月29日に行われた大統領選挙の第1次投票の暫定結果を発表した。7人の候補者の中から、現職の与党・公正党のモハメド・ウルド・シェイク・エル・ガズアニ大統領(68歳)が2019年の初当選時の得票率52%をさらに伸ばして、56.12%を獲得し、第1次投票で再選を確実とした。3回目の立候補となった反奴隷運動主導者で反体制を代表するビラム・ウルド・ダー・ウルド・アベイド氏は22.10%の得票率で、前回より得票率を伸ばしたが、2位となった。保守イスラム主義政党、改革・発展全国連合(RNRD)のハマディ・モハメド・アブディ党首は12.78%で3位だった。投票率は55.39%で、独立後初の民主的大統領選挙だった前回2019年の62.66%には及ばなかった。

ジェリル委員長は、今回の選挙で健全な選挙戦が展開され、投票が平穏に行われたことで、多元的民主主義の原則を定着させることができたとして、国民の責任ある行動に敬意を表した。

ガズアニ大統領の再選は、対話を軸として反体制派を取り込み、社会の脱過激化政策を進めるという同大統領の政治的手腕によるところが大きく、また、ガズアニ大統領が国防相を務めた2011年以来現在まで、モーリタニアではテロが1度も発生しておらず、ガズアニ大統領が取った国内の治安重視と国境線警備の強化という政策が一定の効果を生んでいると、フランスの「ル・モンド」紙など外国メディアは分析している。

2024年のアフリカ連合(AU)議長国を務めるモーリタニア(2024年3月1日記事参照)は、ガズアニ大統領の再選によって政権の継続的安定化を図ることで、政情不安と治安悪化に苦しむサヘル地域の中で数少ない安定要素として、同地域での政治的役割をさらに確固なものにした。世界銀行は、2024年後半に予定されているセネガルと同国海域にまたがる海底ガス田「グラン・トルチュー・アハメイム(GTA)」のガス生産開始などにより、2024年から2026年の成長率は年平均4.9%になると予測している。一方で、モーリタニア研究の第一人者であるフランス国際関係研究所(IFRI)のアラン・アンティル氏は、同国が抱える課題として、天然資源に依存する経済構造の脆弱(ぜいじゃく)さと、公共教育レベルの低下、高失業率、減少しない汚職のまん延、気候変動による干ばつと洪水の危機などを挙げている(2024年4月8日付地域・分析レポート参照)。

再選を確実にした7月1日、ガズアニ大統領は「例外なく全てのモーリタニア人のために大統領となり、今回の大統領選挙の競争相手を含む全ての政治指導者との協議、対話、連携のアプローチを継続することを約束する」と宣言し、対話による国内の安定化を強調した。内外の主要紙は、良好な経済見通しを背景にガズアニ大統領は2期目の5年間の任期中にさらに改革を進める意向だと伝えている。

(渡辺智子)

(モーリタニア)

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