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3月の米雇用統計、雇用者数は30万3,000人と強い伸び、平均時給の上昇率は低下(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月8日 15時30分

添付資料PDFファイル(297 KB)

米国労働省が4月5日に発表した3月の非農業部門雇用者数は、前月から30万3,000人増と、市場予想(21万2,000人増)を大きく上回った。なお、1月の数値は22万9,000人増から25万6,000人増に上方修正、2月の数値は27万5,000人増から27万人増に小幅に下方修正された。

就業者数(前月差49万8,000人増)、失業者数(同2万9,000人減)、労働参加率(62.7%、前月から0.2ポイント増)を踏まえた失業率は前月から0.1ポイント低下し、市場予想(3.9%)よりも低い3.8%となった(添付資料表1、図1参照)。労働供給の改善に伴って、就業者が大きく増加したことが失業率の低下に寄与したかたちだ。失業率を年齢別でみると、25~54歳のいわゆるゴールデンエイジの失業率は3.2%と前月(3.3%)からわずかに低下、55歳以上も2.6%と前月から0.2ポイント低下したのに対し、16~24歳の若年層は前月と変わらず8.8%となっている。

3月の雇用者数の前月差30万3,000人増の内訳をみると、民間部門は23万2,000人増、政府部門は7万1,000人増だった。民間部門では財部門が4万2,000人増で、その大半が建設業(3万9,000人増)、特に非住宅部門の増加で占められている。製造業は、前月から増減なしだったが、自動車などの輸送機器や化学部門などが増加する一方、アパレルや食品・飲料などは減少した。サービス部門は19万人増で、主な業種では、伸びのほぼ半分に当たる8万8,000人をヘルスケア部門などの教育・医療サービス業が占め、そのほか娯楽・接客業(4万9,000人増)、小売業をはじめとする商業・運輸・倉庫業(2万7,000人増)などが伸びた。他方、情報通信業や金融業は引き続き弱い動きが続いている(添付資料表2、図2参照)。

このところの雇用者数の伸びの大半は教育・医療サービス業、建設業、政府部門の3部門によるものであり、これらはバイデン政権下でのメディケイド対象者数の拡大(注)や、インフラ投資雇用法(IIJA)・インフレ削減法(IRA)・CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)などによる設備投資の増加などの政策効果に支えられている面が大きい。娯楽・接客業を除けば、そのほかの部門の状況はまちまちというべきでヘッドラインほどの強さはない。

平均時給は34.7ドル(前月34.6ドル)で、前月比0.3%増(前月0.2%増)、前年同月比4.1%増(前月4.3%増)だった。市場予想は前月比0.3%増、前年同月比4.1%増で、いずれも市場予測と合致した。前年同月比でみた場合、賃金上昇率は2021年夏以来の低水準となった。伸びが高かった業種は、金融業(5.8%)、製造業(5.4%)、建設業(5.0%)など、伸びが低かった業種は教育・医療サービス業(2.9%)、情報通信業(2.6%)と、前月と同様の構成だった。

今回の雇用統計は、労働参加率が上昇し、これに呼応して新規雇用者数が大きく増加した結果、失業率が低下するなど、全体としては雇用情勢の強さをあらためて示した。平均時給の伸びが前年比で低下したことは、インフレ低下につながり得るポジティブな要素ではあるものの、ブルームバーグエコノミクスのスチュアート・ポール氏らが、連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ対策に忍耐強く取り組み、最初の利下げをさらに遅らせる可能性を高めると指摘するように(ブルームバーグ4月5日)、労働市場の予想以上の強さは金融政策にも大きな影響を及ぼしそうだ。

(注)メディケイドと子供向けの医療保険プログラムCHIPを合わせた加入者数はバイデン政権成立前の7,270万人(2020年)から、2022年には8,850万人にまで拡大している。

(加藤翔一)

(米国)

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