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チェコ政府、原発増設事業の優先交渉先を韓国企業に決定(チェコ、韓国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月25日 1時5分

チェコ政府は7月17日、ドコバニ原子力発電所(注1)の原子炉増設の入札に関して、優先交渉者を韓国水力原子力(KHNP)に決定したと発表した(プレスリリース、チェコ語)。最終入札にはフランス電力(EdF)も参加したが、価格やコスト管理、工程計画などの条件で勝るKHNPを選択した。

ペトル・フィアラ首相は「われわれの目的は、経済的に合理的で、手頃な価格で十分なエネルギーを確保する解決策を見いだすことだ。KHNPの提案はこれらの条件を満たしている」と述べた。

入札において、政府はチェコ企業の参与も重要視した。KHNPは建設にあたり現地調達率を約60%とすることを提案しており、フィアラ首相はチェコ経済の発展に多大な刺激をもたらすことを期待している。KHNPのプレスリリースによると、すでにチェコのサプライヤー200社を選択し、うち76社と将来的な提携に関する覚書(MOU)を締結した。メインタービンのサプライヤーは、韓国の斗山グループに属する斗山シュコダ・パワー(本社:ピルゼン市)となる予定だ。

政府はまた、ドコバニ原発の原子炉増設に加えて、テメリン原発における2基増設をオプションとして追加する交渉をKHNPと行うことを決定した。ヨゼフ・スィーケラ産業貿易相は、オプションの適用については、今後のチェコのエネルギー動向(注2)などを考慮して決定するとしている。

政府は、ドコバニ原発の増設費用を1基あたり2,000億コルナ〔1兆3,400億円、1コルナ=約6.7円(7月23日チェコ国立銀行為替レート)〕と見積もっている。最終的な価格は今後の交渉により決定する。

政府の計画では、2025年3月までに契約を締結した上で、2029年までに建設許可を取得、2036年末までに試運転を開始し、2038年に本格運転を開始する予定だ。

なお、韓国の報道によると、韓国産業通商資源部の安徳根(アン・ドックン)長官は今回の選定について、「2009年のアラブ首長国連邦(UAE)バラカ原発受注以来15年ぶり(2010年4月15日記事参照)の快挙で、商業用原発の本拠地である欧州への原発輸出の橋頭保との意味も大きい」とし、「KHNPと原発協力業者、原子力学界と研究機関、関係省庁および支援機関がチームコリアとして全力を尽くした結果」と高く評価した。

(注1)チェコではドコバニ原発とテメリン原発が運転中。

(注2)国際エネルギー機関(IEA)のデータによると、2022年のチェコにおける発電量のうち、原子力の割合は36.6%。産業貿易省は2024年2月に発表した国家エネルギー・コンセプト改正案の中で、年間総発電量に占める原子力の割合の2040年までの達成目標として47~65%を掲げている。

(中川圭子、花輪夏海)

(チェコ、韓国)

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