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中国発の衣料品ECサイトのシーインが英国で新規株式公開申請、米国上場計画は難航(米国、英国、中国、シンガポール)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月27日 0時30分

衣料品の電子商取引(EC)を手掛ける中国発のSHEIN(シーイン)は、6月上旬に英国ロンドンで新規株式公開(IPO)の申請を非公開で行ったと、複数のメディアが報じた。同社は2023年11月に米国での上場を申請(2023年11月30日記事参照)し、ここ数年での大規模な消費者向けIPOになると期待されていたが、米中対立の激化で両規制当局による承認が難航しており、上場のハードルの低さを期待してロンドンに代替先を求めたもようだ。

シーインのIPO申請に関しては、米国議会から、(1)ウイグル族による強制労働の可能性の懸念が示されていること、(2)「デミニミス・ルール」と呼ばれる非課税基準額以下での輸入を利用して他の小売企業に比べて関税の支払い額を低く抑えていること(2024年2月15日記事参照)、(3)シンガポールに本社を置くものの、米国でのIPO申請に際して許可を求めるなど中国政府と関係しており「電子商取引、消費者の安全、人々のデータプライバシーとセキュリティーに深刻なリスク」があり得ること(CNBC6月21日)、などの懸念が示されてきた。

シーインにみられるように、中国系企業の米国におけるIPO申請に対しては、議会から懸念が示されていることもあり、規制当局による審査も厳格化される傾向にある。また、バイトダンスが運営する動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」を米国で禁止する法案が可決されるなど(2024年4月25日記事参照)、中国企業に対する法的な規制自体も強化される傾向にある。こうした米国における審査厳格化などを受け、米国でIPOにより2億ドル以上を調達した中国系企業が2021年には12社あったものの、2023年は1社もないなど、近年では申請自体が小規模化するとともに数自体も減少している。米国側がリスク開示の強化を求める一方、中国側も中国の法制度などについての誤った説明や中傷を禁じる措置を講じていることから、中国企業としても米国当局の要請に容易に応じにくい状況にあり、米国におけるIPO申請の状況は改善し難いとの指摘もある(ブルームバーグ6月4日)。ロンドンでも、米国と同様に、中国企業のビジネスに対する倫理的な懸念が示される可能性が指摘されている(CNN6月3日)。

(樫葉さくら)

(米国、英国、中国、シンガポール)

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