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航空宇宙・防衛産業に優位性持つ米アリゾナ州、防衛関連アクセラレーション施設開設など新たな動きも(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月1日 0時10分

米国アリゾナ商業公社(Arizona Commerce Authority:ACA)は6月20~21日、半導体に加えて、航空宇宙や防衛の分野をテーマとする投資誘致プログラムを実施した(2024年7月1日記事参照)。同州では、半導体ファウンドリー(受託製造)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が半導体製造工場建設で合計650億ドル以上の投資を予定するなど、同州の著しい人口増加や経済成長を半導体産業が牽引しているが、航空宇宙、防衛産業も盛んな地域だ。ACAのサンドラ・ワトソン社長兼最高経営責任者(CEO)は同プログラムの冒頭のあいさつで「半導体産業のみならず、航空宇宙、防衛分野でもアリゾナ州は非常に強力なリーダーシップを有する地位にある」と述べている。

ACAの担当者によると、同州には1,200以上の航空宇宙、防衛関連企業があり、誘導ミサイルと宇宙船の製造で全米1位となっている。同州に所在する企業と国防総省との2023年の契約額は126億ドルに上るという。同担当者は「アリゾナは晴天の日が多く、訓練をするパイロットにとっても理想的な環境だ。もともと主要な軍事基地があり、その周りに関連産業が集積していたが、現在は多くが商用に転用されている。アリゾナの大学では航空宇宙や防衛技術に関連するプログラムも多数準備されており、研究開発の面でも優位性がある」と話す。

同プログラムのパネルディスカッションには、3月15日にオープンしたサウスウエスト・ミッション・アクセラレーション・センター(注)のドリュー・トロヤノフスキー社長兼最高経営責任者(CEO)も登壇し、「米国が防衛分野でリードするには、民間の優れた技術をうまく取り入れていく必要がある。われわれは民間の優れた技術を発掘し、国防総省につなぐのが役割だ。今後 5 年から 10 年の間にアリゾナ州は国防総省にとって非常に重要な場所になる」と述べた。

また、同プログラムでは、フェニックス・メサ・ゲートウェイ空港の視察も行われた。同空港は、30年前に米空軍基地の跡地に開港した広さ約3,000エーカー(約1万2,100平方メートル)の商業空港で、現在2つのエリアで大規模な拡張工事が進んでいる。2024年秋から米宇宙関連企業ヴァージン・ギャラクティックの宇宙船デルタの製造工場稼働が予定されているほか、新規テナントも募集している。また、ドローンや空飛ぶクルマのテスト飛行も可能という。

アリゾナでは、従来から盛んだった航空宇宙や防衛分野で、このような新たな動きも加わり、今後の動向が注目される。

なお、ジェトロでは、半導体や航空宇宙分野の日本企業を対象としたアリゾナ投資環境調査ミッションを2024年11月中旬に計画している。

(注)米国防総省の5カ所のアクセラレーションセンターの1つで、国防総省の調達の玄関口として、同省と国家安全保障上の課題解決に資する製品を有するスタートアップ企業、学術機関、ベンチャーキャピタルなどをつなぐ役割を持つ。

(柴原友範、堀永卓弘)

(米国)

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