南米最大級の水産食品展示会、日本食・すしに高い関心(ブラジル)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月31日 9時40分
南米最大級のB2B水産食品展示会とされる「シーフードショウ・ラテンアメリカ2024」が10月22~24日、ブラジルのサンパウロ市アニェンビ展示場で開催された。2024年で3回目を迎えた同展示会には、国内外から125社が出展。主催者によると、生産者、流通業者、輸入業者、輸出業者、レストラン関係者など約3,000人が来場した。
展示会の開会式にはアンドレ・デ・パウラ水産養殖相が登壇し、出展企業数が前年比で25%増加したことに触れ、ラテンアメリカの水産物業界における同展示会の意義を強調した。会期中は、商談会や試食会に加えて、水産業界における持続可能性やサプライチェーン、人工知能(AI)技術の活用などに関するセミナーなども開催された。さらに、マグロの解体ショーやすしを含む日本食の試食会など、日本食に関連するイベントも数多く開催された。
最終日には「ブラジルにおける日本食市場の可能性」というテーマのパネルディスカッションが開催され、日本食レストランの多さと根強い人気からサンパウロの日本食市場はさらに発展する、との見方が現地レストラン関係者から寄せられた。一方、現地インポーターからは、魚介類の安定した価格での供給や輸送品質などの問題が取り上げられた。パネリストとして登壇した現地日本食レストランWatanabeのデニス・ムラカミシェフは「日系移民4世のシェフが増え、伝統的な日本料理以上に革新性と独創性が求められるようになってきた」と、日本食のニーズが多様化していることを指摘した。
同展示会には、ジェトロもABGJ(ブラジル和食協会)と共同でブースを出展した。出展は日本産食品サンプルショールーム事業として行われたもの。ブースでは、日本の事業者3社と当地食品インポーター6社がハマチ、ホタテ、しょうゆ(2種)、ワサビ(2種)、日本酒(5銘柄)を提供し、ジェトロが試食・試飲会を行った。試食した現地すしレストランのシェフからは「(ブラジルのすしレストランでは)サーモンやマグロが多いためハマチやホタテなどより幅広い素材を使ってきたい」「(展示品のような)香りの良いしょうゆが使いたい。インポーターに輸入してくれるように話す」という意見が寄せられた。水産物のインポーターからは、ホタテはすしだけではなくバター焼きやパスタで利用するレストランが多いため、「大粒の最高級のものだけでなく小ぶりのものも含めてバリエーションが多くあるとありがたい」というコメントもあった。
その他のイベントで注目を集めたのは、Nagoya Sushi Schoolが主催した「ブラジル寿司(すし)コンペティション」だ。200人以上のブラジル全土の予選通過者から選ばれた24人のセミファイナリストが、刺し身・にぎり・江戸前ずしの3つを審査員および観客の前で調理し、でき栄えだけでなく、下準備から調理の過程の全てを審査された。優勝したリオグランデ・ド・スル州出身のアラン・ビトール・ベックマン氏は、2025年に東京で開催される「ワールドすしカップ」にブラジル代表として出場することになる。
「日本食レストランのサプライチェーン課題」のパネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)
ジェトロブースにて試食をするバイヤーの様子(ジェトロ撮影)
ブラジル寿司コンペティションの審査の様子(ジェトロ撮影)
(堀池桃代)
(ブラジル)
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