国家主席にルオン・クオン共産党書記局常務が昇格(ベトナム)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月30日 1時0分
ベトナムの第15期(2021~2026年期)第8回国会は10月21日、ルオン・クオン共産党書記局常務を国家主席に選出した。国家主席は党序列2位で、憲法上の国家元首となる。国家主席は直近で交代が続き、クオン氏は2021年以降4人目となる。前任に当たるトー・ラム書記長は2024年5月に国家主席に就任し、8月から書記長と国家主席を兼任していた(2024年8月9日記事参照)。
クオン氏は1957年に北部フート省生まれ。1975年に入隊し、人民軍でキャリアを築いてきた。2016年から人民軍政治総局長を務め、2021年に共産党政治局員(注)に選出された。2024年5月からは、党則違反を理由に辞任したチュオン・ティ・マイ氏の後任として党序列5位の書記局常務を務めていた。
クオン氏は就任演説で、国防と安全を強化するとともに、国際社会での積極的かつ責任ある構成員として、多国間の外交や国際統合を進めると述べた。
政治体制の安定に期待
「四柱」と呼ばれるベトナム最高指導部ポスト(党書記長、国家主席、首相、国会議長)への就任は、政治局員を1期(5年間)以上務めることが原則とされており、政治局員1期目のクオン氏が国家主席に選出されたのは異例だ。
7月に死去したグエン・フー・チョン書記長が主導した反汚職運動の影響で、条件を満たす政治局員が次々と失脚し、ほかに適任の候補者がいない状況となっていた。その結果、2026年初頭に予定される党大会に向け、序列5位のクオン氏を昇格させたとみられる。
BBCニュースでは、ベトナムの政治体制の安定を期待し、新たな国家主席を歓迎する国際社会や識者の声を紹介する一方、次期党大会の準備過程で権力闘争が起きる恐れもあると報じている(BBCニュース10月22日)。
(注)政治局員は中央委員から選出される党の要職。政治局は党大会や中央委員会の決議の実現を指導・監督し、党の活動方針や人事を実質的に決定する。
(萩原遼太朗)
(ベトナム)
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