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財閥系ハイパーマーケットに聞く、政変下の取り組みと事業拡大(バングラデシュ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月4日 0時20分

バングラデシュの首都ダッカでハイパーストアを運営し、2023年11月には国際空港が立地する国内主要都市シレットへの初出店を果たした大手財閥系企業ユニマート(2024年7月23日記事参照)は、公務員採用の特別優遇枠のクオータ制度を巡る学生デモに伴う外出禁止令や、その後の政変(2024年8月13日記事参照)を受けても、営業を継続し、混乱の最中も小売店(モダントレード)で消費者の物資調達を支えた。同社で商品調達の責任者を務めるファイジュラ・シムル氏に、困難な期間の取り組みや今後の事業拡大について聞いた(インタビュー:8月22日)。概要は次のとおり。

(問)今回の政変を受けての営業状況は。

(答)デモが活発化する中、インターネットが遮断された初日(7月19日)は休業したが、それ以降は現在に至るまで、当社では全てのオペレーションを継続してきた。外出禁止令の最中も、外出可能とされた時間帯は国内全8店舗で営業し、来客で混雑する中、スタッフ総出で稼働の維持に努めた。こうした「特需」で、結果的に直近1カ月の売り上げは平常時と比べて遜色なく、その面でも安堵(あんど)している。

(問)事業継続の課題は。

(答)大きな障壁や課題は生じていない。例えば、当社の従業員は担当する店舗の近郊に多く住んでおり、外出禁止令で移動が制限される時間帯にも、ほぼ全てのスタッフが徒歩で出勤可能だった。出勤途中にデモ関係者や警備当局に止められるケースもあったが、当社従業員であることを伝えることで、通行に支障は全く生じなかった。当社が市民のライフラインの1つとなっていることは混乱の最中にも認識されており、食料や医薬品など必需品の販売への妨害も発生しなかった。また、商品の調達や物流に関しても、デモ活発化に起因してネガティブなうわさが流れたことは承知しているが、当社は1,000社を超えるディストリビューターからの調達を継続し、知り得る限り具体的な脅威や支障はなかった。

(問)商品調達など今後の計画は。

(答)当社の旗艦店であるダッカ中心部グルシャン2に立地する店舗では、食品や医薬品、日用品、衣料品、雑貨など、合わせて約3万5,000点の品物をそろえており、輸入品では米国や英国に並び、タイやマレーシアをはじめ、東南アジアや韓国からの調達が拡大している。その中で日本企業の製品は一部の菓子や麺類など限定的で、それ以上は拡大できていない。一方で、当社顧客の日本製品への信頼や憧れはこれまで以上に感じており、意欲的に開拓していきたい。価格に関しては、他国の商品と比べて特別な課題とは考えていないが、パッケージの英語表記や食品のハラール対応は必須で、商談に際して留意いただきたいポイントとなる。また、直近では当地農場などとの契約の下でコメやスパイス、鶏卵、ジュート製品などの企画・生産や、プライベートブランドの開発に着手しており、それら商品は国内販売に加え、輸出に取り組む計画もある。

外出禁止令が出た政変直前(7月下旬)に、インターネットが継続的に遮断され、取得できる情報に大きな制限がかかる中、当地の日系企業間で、生活必需品の調達や製品・原材料の輸出入の観点から、物流状況に関する懸念や緊張感の一時的な高まりがみられた。現在、情勢は安定化しつつあるとみられる中でも、洪水の影響(2024年8月26日記事参照)や一部の散発的なデモもあり、日系企業駐在員の生活にとっても欠かせないスーパーマーケットの動向は引き続き注視されるだろう。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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