ナイジェリア、政策金利を引き上げ、26.25％に（ナイジェリア）

ナイジェリア中央銀行（CBN）は5月20日と21日に、金融政策委員会（MPC）を開催し、政策金利（MPR）を150ベーシスポイント（bp：1％の100分の1）引き上げ、26.25％とした。今回も物価安定の達成が大きな焦点となり、前回のMPCに続いての引き上げになった（2024年3月28日記事参照）。

2024年4月のヘッドラインインフレ率（総合インフレ率）は前年同月比でみると33.69％となり、3月の33.20%と比較すると緩やかな伸びになった。しかし、前月比でみると、3月のヘッドライン、食品およびコアのインフレ率は3.02％、3.62％、2.54％となり、4月は2.29％、2.50％、2.20％となったことから伸び率は低下した。こうしたことから、MPCは、これまでの金利引き上げが一定の効果を上げているとみている。

MPCは、食品インフレがインフレを牽引しているとみており、特に農産物の輸送コストの上昇、流通網におけるインフラの制約、為替安による輸入食品価格の上昇が課題だと指摘している。また、農村の食糧生産の改善を図るため、農業コミュニティの安全保障（注）にも一層取り組むことを求めている。

IMFは、2024年のナイジェリアの経済成長率予測を3.0％から3.3％に上方修正している。ウクライナや中東などでの地政学的な緊張による経済面での影響も懸念され、穀物や原油などの主要商品価格の上昇に大きな影響を及ぼしている。MPCは、インフレ期待が適切に固定されるように、引き続き、国内外の経済動向を注視していくとしたうえで、今後は利上げサイクルを当面休止する可能性も示唆している。

次回のMPCは、7月22日と23日に開催が予定されている。

（注）一部地域では、武装勢力による誘拐など治安面での懸念があり、対策が求められている。

（奥貴史）

（ナイジェリア）