輸出入とも、第1四半期での過去最高を記録(マレーシア)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月10日 0時30分
マレーシア統計局は4月26日、2024年第1四半期(1~3月)の貿易総額が前年同期比7.1%増の6,906億リンギ(約22兆7,898億円、1リンギ=約33円)だったと発表した(添付資料表1参照)。輸出額は3期連続のマイナスから一転、2.2%増の3,624億リンギとなった。輸入額は13.1%増の3,282億リンギで、輸出を上回る伸び率となった結果、貿易収支(黒字)は46.8%減の342億リンギに縮小した。輸出入額はともに第1四半期での過去最高を記録した。
輸出を品目別にみると、全体の36.9%を占める電気・電子製品が1,338億リンギで、前年同期比5.7%減だった(添付資料表2参照)。うち同品目の半分を占める集積回路が6.9%減の678億リンギと振るわなかった。次いで、精製石油製品が0.7%減の336億リンギ、パーム油・同製品が4.9%減の249億リンギと、いずれも前年同期を下回った。一方、液化天然ガス(LNG)が4.2%増の185億リンギ、専門・科学・制御機器および装置が6.6%増の133億リンギと、それぞれ堅調に増加した。
国・地域別にみると、輸出では、シンガポールが前年同期比8.3%減の524億リンギと振るわなかったものの、引き続き最大の輸出相手国だった(添付資料表3参照)。次いで中国(3.3%減の445億リンギ)、米国(8.0%増の421億リンギ)、日本(0.8%増の238億リンギ)、香港(14.0%減の189億リンギ)が続いた。上位5カ国・地域のうち、米国と日本向け輸出のみが前年を上回った。マレーシア投資貿易産業省(MITI)は、米国向けの輸出増は主に半導体デバイスと集積回路(IC)への需要増によるものとした。日本向けでは原油、加工食品、光学機器が輸出に寄与した。
四半期ごとの輸出増減率をみると、中国とEUを除き、主要国・地域の寄与度はプラスに転じ、回復の兆しが見える(添付資料図参照)。
輸入では、中国が8.2%増の678億リンギで首位だった。次いでシンガポール(29.4%増の402億リンギ)、台湾(29.3%増の279億リンギ)、米国(20.2%増の248億リンギ)、日本(3.5%減の180億リンギ)が続き、日本からの輸入のみが前年同期を下回った。
マレーシア中央銀行は3月20日に2023年の年次報告書を発表した(2024年3月25日記事参照)。その中で「世界貿易や半導体市況の回復に伴い、2024年通年の輸出は5.0%増(前年は8.0%減)」と予測した。中銀より保守的な立場を取るユナイテッド・オーバーシーズ銀行研究所(UOBリサーチ)は2024年の輸出は3.5%増にとどまると見込み、中東での地政学的緊張の激化、不透明な中国の経済見通し、先進国による金融政策の引き締め長期化の3つの下振れリスクがあるとした。
(エスター頼敏寧)
(マレーシア)
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