サウジアラビアのACWAパワー、チュニジアでのグリーン水素開発で覚書締結(チュニジア、サウジアラビア)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月7日 0時5分
チュニジアでのグリーン水素生産開発に関する覚書(MoU)が5月31日、同国のファトマ・タベット・シブーブ産業・鉱山・エネルギー相と、海水淡水化や発電プロジェクトを世界各地で開発・運営するサウジアラビアのACWAパワーのマルコ・アルセッリ最高経営責任者(CEO)によって締結された。
このプロジェクトの第1フェーズでは、2ギガワット(GW)の電解装置、1.7GWの太陽光発電、2.4GWの風力発電で構成する総発電容量4.1GWの再生可能エネルギー発電ユニットとバッテリーエネルギー貯蔵施設を設置し、年間20万トンのグリーン水素の生産を可能とする。総投資額は62億ドルが見込まれている。また、チュニジアのワエル・シュシャン産業エネルギー移行担当国務長官は、同プロジェクトの研究と開発のプロセスには2年から4年を要し、実際の立ち上げは2027年または2028年、生産開始は2030年になると述べた。
同プロジェクトは3フェーズを経て、最終的には年間最大60万トンのグリーン水素を生産し、現在計画中のチュニジアとイタリア、オーストリア、ドイツを結ぶ水素パイプライン「SoutH2回廊」を通じて輸出する計画だ。
ACWAパワーのアルセッリCEOはプレスリリースで「この先見性あるプロジェクトでチュニジア政府と協力し、再生可能エネルギー、海水淡水化、グリーン水素に関する当社の専門知識を活用して、欧州との架け橋を築き、脱炭素化目標の達成と同時に、チュニジアの経済成長、雇用創出、持続可能なエネルギー開発にも大きく貢献できる」と語った。同社は最終的に、エネルギー貯蔵システムと送電線を含む12GWの再生可能エネルギー発電ユニット、海水淡水化プラント、電解装置、主要パイプラインに接続するインフラを含めた総合的な開発、運用、保守を行う考えだ。
5月28日には同様の覚書がチュニジア政府とフランスのトタルエナジーズH2(TEH2)、オーストリアの電力会社フェアブントの間で締結され(2024年5月31日記事参照)、チュニジアでの欧州向けグリーン水素開発計画が始動している。
(渡辺智子)
(チュニジア、サウジアラビア)
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