サン・フアン州の鉱業ビジネス機会、同州鉱業相が語る(アルゼンチン)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月3日 0時40分
アルゼンチン西部のサン・フアン州政府とジェトロは8月22日、同州のフアン・パブロ・ペレア鉱業相と進出日系企業の意見交換会をブエノスアイレス市内で行った。ペレア鉱業相は、同州の鉱業分野のビジネス機会について、会合の中で次のとおり述べた。
サン・フアン州の鉱業の歴史は浅いが、州の83%が山岳地帯であることから、金、銀、銅、モリブデン、鉛、亜鉛などの重要な鉱物資源があり、国内で最も重要な10の銅開発プロジェクトのうち、6つが同州に集中している。銅の埋蔵量では、アルゼンチン全体の埋蔵量の80%がサン・フアンにある。現在操業中の鉱山はべラデロ(金、銀)とグアルカマヨ(金)の2つだ。
現在、サン・フアン州から輸出されている鉱物は主に金で、鉱物の輸出は同州の輸出額全体の75%を占めている。鉱業分野は、将来的には200億ドルの投資を呼び込む可能性があり、サン・フアン州の戦略的な産業として位置づけられる。
サン・フアン州は、ハビエル・ミレイ政権が導入した大型投資奨励制度(RIGI)を批准した(2024年8月27日記事参照、注)。州内の自治体もRIGIがもたらす成長機会を理解しているため、同制度を批准する見通しだ。RIGIへの期待の一例として、オーストラリアのBHP、カナダのルンディン・マイニングが進めているホセ・マリア・プロジェクト(銅、金)と、フィロ・デル・ソル・プロジェクト(銅、金、銀)の開発に参画することが挙げられる。銅鉱山の開発は長期にわたることから、税制や法的な安定性が求められるが、州政府はRIGIによってこれらが解決すると考えている。RIGIは法律により定められた制度のため、政権交代があってもこれを廃止ことは非常に困難だ。
過去の政権では、氷河法の氷河の定義と環境への影響に関する誤った理解によって、開発が長期にわたって停滞しているエル・パチョン・プロジェクト(銅、モリブデン)に代表されるように、鉱業分野の繁栄が妨げられてきた。RIGIは、他の大型プロジェクトの開発を停滞させないためにも、重要な制度だ。また、州政府は鉱山の開発プロジェクトの権益を州鉱業公社に保有させることを一切要求していない点を明確にしておく。
(注)RIGIについて定めた「アルゼンチン人の自由のための基盤および出発点に関する法律」(通称:オムニバス法または基盤法)は、RIGIの適用を受けたプロジェクトは国家の利益と見なされ、国家の利益に反する連邦政府または地方政府の規制や措置は無効となると規定し、地方自治体に対してRIGIを批准するよう呼びかけている。
(西澤裕介、サンティアゴ・ブリニョーレ)
(アルゼンチン)
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