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欧州委、医療機器の公共調達に関する調査結果を公表、中国はEU企業を不当に制限(EU)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月21日 0時0分

欧州委員会は1月14日、中国政府が、医療機器に関する中国国内の公共調達へのEU企業のアクセスを、差別的な措置により不当に制限しているとする調査報告書を公表した(プレスリリース)。今回の調査は、国際調達措置(IPI)規則(2021年6月10日記事参照)に基づく初の案件として、欧州委が2024年4月に開始したものだ(2024年4月30日記事参照)。欧州委は今後、EU域内の公共調達への中国企業のアクセスを制限する対抗措置を実施するか検討する。

調査報告書によると、中国政府は、公共調達において自国製医療機器を全般的に優遇する「バイ・チャイナ(Buy China)」政策を実施していると指摘。この政策は、法令、実施措置、ガイドラインなどからなる多層的な制度であり、組織的かつ恒久的な性質を有していることから、EU企業およびEUからの輸入医療機器を差別していると評価した。

また、中国政府が医療機器の公共調達において導入する「帯量購買(volume-based procurement:VBP」(注)について、応札事業者に極端に低い応札価格を強いる制度であり、営利企業は国家による支援なしに、このような応札価格を長期間にわたり維持することはできないと指摘。中国政府が中国国内で製造・研究開発を行う落札企業に対し提供する財政支援に言及した上で、VBPは、EU企業およびEUからの輸入医療機器を事実上差別・制限、場合によっては排除していると評価した。

その上で欧州委は、中国政府のこうした措置は、IPI規則において対抗措置の根拠となる、公共調達へのEU企業・製品のアクセスに対する深刻かつ継続的な障壁に当たると結論づけた。

欧州委は、こうした障壁の撤廃に向け、中国政府との対話を続けるとしているが、対話による解決が難しい場合に備え、IPI規則に基づく対抗措置の実施の可否を検討するとしている。調査報告書には、欧州委が今後発動する可能性のある対抗措置の具体的な内容は明記されていないが、発動する場合、EU域内の公共調達に応札する中国企業を一定程度不利に扱う「スコア調節措置」を実施するか、応札から中国企業を排除することになる。

(注)国家あるいは省レベルで実施する大量購入を前提とした競争入札制度。

(吉沼啓介)

(EU)

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