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米下院の中国特別委員長、恒久的正常貿易関係撤回法案をあらためて提出(米国、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月24日 13時0分

米国連邦議会下院の「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会(中国特別委)」のジョン・ムーレナー委員長(共和党、ミシガン州)は1月23日、トム・スオッツィ議員(民主党、ニューヨーク州)と共に、中国との恒久的正常貿易関係(PNTR)を撤回する「公正な貿易回復法」案を提出したと発表した。

ムーレナー氏は、2024年11月にも同名の法案を提出したが、不成立のまま廃案になっていた(2024年11月18日記事参照)。同委員長は、法案を再提出した理由について、ドナルド・トランプ大統領が就任初日の1月20日に発表した大統領覚書で、中国とのPNTRを評価するよう商務長官と米国通商代表部(USTR)代表に指示したこと(2025年1月22日記事参照)を受けたもの、と説明した。商務長官とUSTR代表はまだ議会で承認されていないため(注1)、閣僚の就任前に議会の行動が先行したかたちだ。

同法案の内容は、中国に対するPNTRを撤回し中国に対する新たな関税欄を設けること(注2)、中国からの非戦略的品目の輸入に最低35%、戦略的品目に最低100%の関税率を課すこと、新しい関税率は1年目に10%、2年目に25%、4年目に50%、5年目に100%と段階的に引き上げること、など前回提出した内容と全く同じになっている。

ムーレナー氏は法案提出にあたり、「3代にわたる政権(注3)が実施してきた関税措置を基盤とし、トランプ大統領の新たな大統領令によるリーダーシップに沿ったかたちで、公正な貿易回復法案について断固とした行動を取る」と述べた。

前118議会で法案が提出された際は、中国と「競い合いながらも責任を持って関係を管理」する方針を掲げたジョー・バイデン前大統領が政権を担っていたこともあり(注4)、可決見込みは高くないとされ、実際に廃案となった。だが現在は、トランプ氏が大統領に就任し、上下両院ともに共和党が多数政党になり、状況は変わった。トランプ新政権と新議会が、中国との通商関係をどのように捉えているのかを推し量る上で、今回の法案が最初の試金石となりそうだ。

(注1)商務長官にはハワード・ラトニック氏が(2024年11月20日記事参照)、USTR代表にはジェミソン・グリア氏(2024年11月28日記事参照)が指名されている。閣僚の就任には、連邦議会上院での承認が必要となっていて、ラトニック氏の承認に向けた公聴会は1月29日に予定されている。

(注2)米国の関税体系は、PNTRのステータスを与えられた国などに対する特恵税率が適用される関税率(コラム1)と、特定国向けの関税率(コラム2)に分かれている。今回の法律が可決されれば、新たに中国向けコラムが作成されることになる。

(注3)中国に対する追加関税措置は、トランプ政権1期目で始まり、バイデン政権でも継続(一部品目に対しては強化)され、トランプ政権2期目でも継続されている(2025年1月15日付地域・分析レポート参照)。

(注4)大統領は議会が可決した法案に対して、拒否権を発動できる。ただし、議会は大統領の拒否権に対して、上下両院の3分の2以上の賛成で法案を再可決できる。再可決されると、当該法案は大統領の署名なしで成立する。

(赤平大寿)

(米国、中国)

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