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米主要港、5月の小売業者向け輸入コンテナ量は前月比3.0%増、今後も物流混乱リスクへの懸念は漂う(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月16日 15時40分

添付資料PDFファイル(374 KB)

全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社のハケット・アソシエイツが7月9日に発表した「グローバル・ポート・トラッカー報告」によると、5月の米国小売業者向けの主要輸入港(注1)の輸入コンテナ量は前月比3.0%増、前年同月比で7.5%増の208万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算、添付資料図参照)となり、2022年8月(226万TEU)以来の高水準となった。6月以降の見通しについては、6月:210万TEU(前年同月比14.5%増)、7月:221万TEU(15.5%増)、8月:222万TEU(13.5%増)、9月:210万TEU(3.5%増)、10月:205万TEU(0.5%減)、11月:196万TEU(3.5%増)としている。

今回の発表の中で、NRFのサプライチェーン・税関担当バイスプレジデントのジョナサン・ゴールド氏は、サプライチェーンに複数の課題を抱えながらも、新学期や年末商戦に向けて小売り各社は需要に応える準備が整っていると述べ、輸入コンテナ量の良好な推移を評価した。サプライチェーンに関する懸念材料として、発表の中でハケット・アソシエイツ創設者のベン・ハケット氏が具体的に指摘したのは、(1)8月に発効予定の中国原産品に対する関税引き上げ(2024年5月15日記事参照)など、より高額で広範な関税に対する政治的支持が拡大し、インフレ圧力が高まる可能性があること、(2)米国東海岸およびメキシコ湾岸の港湾労働者との新たな労働協約が締結されておらず、ストライキの影響を避けるために輸送ルートの変更が必要となる可能性があること、(3)紅海の物流混乱が予想以上の影響を及ぼしていること、の3点だ。こうした課題に対し、各企業は、商品の早期入荷や東海岸と西海岸間の出荷バランスを取ることでリスク回避を図っているもようだ(CNBC6月10日)。

サプライチェーン上の課題として指摘された上記3つのうち、今後大きな動きが予想されるのは労使交渉に関する事項だ。米国東海岸の労使交渉に関しては、国際港湾労働者協会(ILA)と米国海運連合(USMX、注2)の間で結ばれている現行の労働協約が9月30日に満了を迎えるが、労使交渉は中断した状態だ(注3)。ILAは協議中断の理由として、海運大手マースク傘下のターミナル運営会社APMターミナルズが運営するアラバマ州モバイル港において、港湾ターミナルでトラックを処理するために自動化技術が導入されたことを挙げている。ILAの広報は、ILA組合員の労働力を使わずに自動化で代替することは「USMXとの合意に対する明らかな違反だ」とし、この問題が解決するまではUSMXとの交渉は進めないとの意向を示している。

(注1)主要輸入港は、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトルおよびタコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミおよびジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港を指す。

(注2)米国東海岸およびメキシコ湾岸の港湾労働の雇用主を代表する。

(注3)両者は2023年2月に労使交渉を開始(2024年2月2日記事参照)しており、2024年6月から基本協約交渉を開始する予定だったが、ILA側が労使交渉を中止した。

(樫葉さくら)

(米国)

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