新鉱業ロイヤルティー徴収額の地方配分を開始、地方分権・開発促進へ(チリ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月16日 10時20分
チリ政府は4月12日、「新鉱業ロイヤルティー法」に基づく徴収税額の一部に相当する930億ドルを、計307の対象の地方自治体へ配分する初回手続きを開始したと発表した。この金額は、ここ10年間で新規導入された施策を通じて政府から地方向けに配分する金額としては、最高額となる。
「新鉱業ロイヤルティー法」は2023年8月に施行され、2024年1月から適用を開始した。チリ政府は、その議論の当初から国内で鉱業に携わる大企業からの徴収税額を増やし、それらを主に地方自治体へ配分することで、自治体間の財政状況の格差を是正する方針を強調していた。チリの鉱業は、その埋蔵量と生産量ともに世界第1位の銅を中心とした国内で最大の産業であることから、外国投資家からも高い関心を集めているテーマだった。
使途は自治体が自由に決定、政府はその有用性アピール
今回の徴収税額配分は2種類の基金を通じて実行したものだが、その使途については、自治体側が自由に決定することができる(ただし、自治体の債務返済を除く)。監視体制としては、各自治体が内務省傘下の地域開発次官官房(SUBDERE)と国会に対して、配分金額の使途について事後報告を行うという制度を敷いている。
財務省は一連の措置について、ガブリエル・ボリッチ大統領が掲げる「地方分権、地方開発の促進」とも関連が深い改革と紹介している。マリオ・マルセル財務相は、配分された金額を用いて建築廃棄物の処理施設新設が可能になるアントファガスタ州トコピージャ区の例を挙げ、自治体ごとに異なる緊急性の高い課題の解決に資する今回の財源措置の有用性をアピールした。
(佐藤竣平)
(チリ)
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