マクロン大統領、モロッコ訪問で100億ユーロの投資協定締結(フランス、モロッコ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月13日 0時35分
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は10月28~30日、モロッコ国王モハメッド6世の招待を受け、同国を国賓として訪問した。大規模なフランス経済界の代表団も同行し、29日に開催された起業家会議などで、合計額100億ユーロを超える20件以上の投資契約などが署名された(詳細は添付資料表参照)。
両首脳は28日、両国間のパートナーシップ強化に関する共同宣言に調印し、2国間協力を「例外的な強化されたパートナーシップ」のレベルに引き上げた。また、政治的・戦略的融合により移民問題の解決に取り組むとした。この宣言を土台に、コンテンツやエネルギー分野の協力を進める。また、西サハラを含むモロッコ領土全体への投資促進のため、持続可能なインフラ整備に特化した「モロッコ・フランス投資アクセラレーター」を両国折半の出資で設立することに合意した。この中で特に注目されるのがエネルギー転換に関連した協力で、フランス側はモロッコでの再生可能エネルギー生産促進はモロッコ経済の脱炭素化とフランスへのグリーンエネルギー供給に向けた重要なステップとみなしている。
2023年のフランス統計経済研究所(INSEE)データによると、フランス本土に住む移民のうち11.7%がモロッコ人で、85万人を超える大規模なモロッココミュニティーが存在する。また、ユーロネクスト・パリの上場銘柄40(CAC40)企業のほぼ全てがモロッコに進出し、合計約1,300社に上るフランス企業子会社の存在からも、フランスにとってのモロッコの重要性が認識できる。
2021年9月にフランスに不法滞在するモロッコ人の本国送還をモロッコ側が拒否したことを理由に、フランス政府はモロッコ人に対するビザ発給数を50%削減すると発表し、以降、両国の外交関係は冷え込んでいたが、2024年7月にマクロン大統領が西サハラ問題に関するモロッコ支持の立場を明確にしたことで、外交関係の改善が見られた(2024年8月6日記事参照)。
マクロン大統領は29日、首都ラバトの国会で「フランスは西サハラに対するモロッコの主権を承認した」と述べ、モロッコ支持の方針を再確認した。同日、フランス外務省のウェブサイトで公開されているモロッコの地図から、西サハラが同国の他の地域とは異なる存在であることを示唆する点線が消去された(添付資料地図参照)。なお、アルジェリア政府は西サハラの独立を支援しており、モロッコの統治に関しては反発を示してきた(2024年8月6日記事参照)。
(渡辺智子)
(フランス、モロッコ)
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