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アフリカの冷房・冷蔵関連市場が2050年に約7倍へ、世界銀行報告(アフリカ、ガーナ、アジア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月3日 0時25分

世界銀行は9月26日、発展途上国における持続可能な冷房・冷蔵への投資促進に関する報告書「Cooler Finance」を公表した。同報告書によると、発展途上国では、温室効果ガス排出のうち3分の2が冷房・冷蔵関係だという。また、世界では、扇風機、エアコン、冷蔵庫などを含む冷却ソリューションの需要が2023年時点の年間約2,720億ドルから、2050年までに倍増し、投資家や冷却製品・サービスの提供者のビジネスチャンスとなるとの分析を示した。アフリカおいては、人口は2050年までに70%増加し、1人当たりGDPが2倍以上になるとの予測もあり、2023年に150億ドル(世界シェア約6%)の冷房・冷蔵関連市場が2050年には約7倍となり、地域別で最も急速に成長すると見込まれる。なお、南アジアでは同期間に4倍になるとの予測だ。

同報告書によると、2020年時点で米国でのエアコン所有率は約90%だったが、データ入手可能なアフリカ21カ国のうちエアコン所有率が10%を超えるのは4カ国のみだった。発展途上国ではエアコンよりも扇風機の所有が多く、例えばガーナでの所有率は約6割に達するという。また、冷蔵庫の所有率はアフリカおよび南アジアのほとんどの国で40%以下だった。さらに、アフリカでは、欧州などから輸入した中古冷蔵庫などエネルギー効率が悪い機器も多い。例えばガーナでは輸入冷蔵庫の約75%が中古だったと指摘した。各種の課題解決のためには、国際機関や民間投資家・企業からの冷房・冷蔵関連分野へのファイナンスが必要だという。

同報告書では、2023年開催の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)で採択された、2050年までに冷房の二酸化炭素(CO2)排出量を68%削減するとの「世界冷房誓約」(2023年12月8日記事参照)についても言及した。アフリカとアジアでは約12億人が冷房を使用できず、猛暑により命の危険にさらされているという。気候変動は農家の収入減少、冷蔵設備・コールドチェーン不足は食品ロスの増加にもつながっている。同宣言では、冷房機器を増やしながら、エネルギー効率化により排出削減も目指している。

一方で、アフリカでは、もとより、電力にアクセスできない人口が6億人と多く、アフリカ開発銀行や世界銀行などが再生可能エネルギーによる電力普及の支援も進めている(2024年4月24日記事参照)。

(井澤壌士)

(アフリカ、ガーナ、アジア)

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