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EUグリーン・ディール産業計画の財政支援策「STEP」が政治合意、新規予算は限定的(EU)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年2月15日 0時40分

EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会は2月7日、重要技術を対象とする域内産業の財政支援策「欧州戦略技術プラットフォーム(STEP)」(2023年6月27日記事参照)の設置法案に関して、暫定的な政治合意に達したと発表した(プレスリリース)。新規予算は欧州理事会(EU首脳会議)で認められた(2024年2月6日記事参照)欧州防衛基金向けの15億ユーロにとどまった。法案は両機関の正式な採択を経て施行される見込み。

STEPは域内産業の競争力強化策「グリーン・ディール産業計画」(2023年12月15日付地域・分析レポート参照)のEUレベルの財政支援策だ。EU予算の拡大で分担金が増えるのを懸念する一部の倹約派加盟国の反対によって頓挫した大規模財政支援策「欧州主権基金」構想の代替案だ。欧州委員会は新規予算として100億ユーロを提案、欧州議会は130億ユーロを主張した。しかし、加盟国間では倹約派の反対により、欧州防衛基金を除いて増額に関する合意はまとまらず、今回の政治合意も倹約派の意向を強く反映したものとなった。

支援対象はディープ・デジタル技術、再生可能エネルギー(再エネ)などのクリーン技術、バイオ技術で、各技術のバリューチェーン全体が含まれる。欧州委が「主権認定(Sovereignty Seal)」を付与した対象事業は財政面の優遇措置を受けられる。

大幅な新規予算は認められなかったが、STEPの財政支援の中心はあくまでも既存のEUプログラム予算の活用だ。認定事業に対しては、複数のEUプログラムからの資金提供など、優先的な財政支援が可能となる。特にEU予算の約3割を占める結束政策予算の活用を進める。EU予算による加盟国予算との共同出資比率を100%に引き上げ(EU予算で事業費を全額賄うことで、加盟国予算の負担がなくなる)、前払い分を30%まで認めるなど、優遇策が盛り込まれた。結束政策のEU予算割り当ては各加盟国が決定するため、優遇策を活用することで、より多くの結束政策予算が認定事業に提供されることが期待される。

グリーン・ディール産業計画関連法案は全て施行へ

STEP設置法案の政治合意により、グリーン・ディール産業計画で提案されたネットゼロ産業法案(2024年2月14日記事参照)、重要原材料法案(2023年11月17日記事参照)、電力市場改革法案(2023年12月18日記事参照)が全て施行される見通しとなった。米国のインフレ削減法の対抗策として発表されたグリーン・ディール産業計画は、EU域内の競争力や主権の強化に向け、前進することになる。グリーン・ディール産業計画にはEUレベルの大規模な財政支援策が欠ける結果となったものの、今後は規制緩和策や加盟国の国家補助(2023年3月15日記事参照)を中心に、クリーン技術の域内生産拠点への支援が本格化することになる。

(吉沼啓介)

(EU)

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